らをた広島

食べ歩きブログ

あしたのジョー



山下智久主演の日本映画。
DVDで観た。
もちろん原作はちばてつやのマンガでこれはタイガーマスク空手バカ一代巨人の星と並ぶ昭和のスポコン漫画の名作だ。
しかもこれらは全て梶原一騎作品だ。
このジャンルはもはや梶原一騎の独壇場だ。
おそらくはかの高名なスラムダンクの登場までは多かれ少なかれこれらの梶原一騎作品の柳の下のドジョウか二番煎じばかりだったはずだ。
これまでマンガ、或いはアニメ原作のいわゆる実写版となる映画には散々な思いをしてきた。
惨憺たるものだったと言ってもいい。
ハリウッドリメイクのドラゴンポールは別格としても最近のこち亀宇宙戦艦ヤマトなどうんざりするほどの失敗作をみてきた。
まあ今回もご多分に漏れずそういうノリPだかヤマPだか知らないがジャニーズアイドルのジャリを客寄せパンダにしたテレビ局主導のカス映画を鼻でせせら笑ってやろうと見始めた。
まず主演の山下智久だがたしかに鍛えておりそれなりの体型をしている。
敵役の力石徹伊勢谷友介はもっと鍛えており二人ともなかなか絵になる。
丹下段平役の香川照之はその風体からして怖いくらいのハマり具合だ(笑)
この役者さんは将来的に国外にでていくような大物になるかもしれない。
このヒトが出ることでこの映画をワンランクいや、ツーランク上質にしている。
この映画は映像の発色を抑えてややセピア色に見えるような配慮がしてあり原作の持つ戦後の猥雑な雰囲気を上手く演出に取り込んでいる。
実写化するときに時代や世界観を撮影や予算都合上変更してコケまくるケースがよく見受けてられるがこのあしたのジョーは原作に忠実だ。
昭和初期のみんな遮二無二前を向いて必死に生きていた時代の空気が素晴らしい。
当然だがボクシングシーンのデキも気になるところだが近年のCGの進化は凄まじいようで一昔前のロッキーシリーズのようなカラダを張ってキケンを犯さなくてもリアルな格闘シーンを作り出せるようになったのだろう。
巧みにCGを効果的に使い、本当に殴り合っているかのような臨場感も期待以上だ。
まあ自分はボクシングって競技をよく知らないからなんとも言えないがおそらく近代ボクシングはこんな気合いとコンジョーだけのケンカみたいなんじゃなくもっともっと純然とスポーツなんじゃないかとは想像に難くない。
全編通じて力石徹との友情とも言えるライバル関係をメインに描かれておりそういう意味ではブレがなくわかりやすい。
相変わらず香里奈の子役にも劣る大根演技がいちいち目障りだが主演の山下智久はよく頑張っており力石徹役の伊勢谷友介に至っては後半の激やせぶりとかはその役者魂を感じさせ主演を食うくらいの凄まじい存在感だ。
まああしたのジョー自体力石徹の強さがあってこそ成り立っている物語だからそういう意味ではベストキャストなのだろう。
ラストもクサいがそれなりに感動作して涙ぐんでしまう。
ただヱヴァンゲリヲン劇場版もそうだったがタイアップなのかよくわからんが落ち目の宇多田ヒカルのエンディングだけは作品集にあってないし余分だ(笑)
映画のオープニングのようにアニメあしたのジョーのオリジナルテーマこそが最も相応しい。
自分のつまらなさを馬鹿にして笑ってやろうと言う思惑はものの見事に外れ最後まで真剣に集中して一気に見てしまった。
ズバリこの山下智久あしたのジョーはあの有名な「立て!立つんだジョー!」のセリフとともに再び実写版として蘇ったと言えるだろう。
こういう実写版なら大歓迎だからどんどん作って欲しいものだ。
コレ、今年の日本映画でベストかも…