らをた広島

食べ歩きブログ

夏子の酒


1994年放映されたテレビドラマ。
それからなぜか16年も経った2010年に突然DVD化される。
自分はテレビ放映時は観てないから今回のDVDで初めて観た。
画面から時代の流れを感じるが日本酒をテーマにした非常にオリジナリティのある作品。
原作はマンガでこちらはお好み焼き屋あたりで拾い読みしたくらいで読破していない。
亡き兄の意志を継いで一掴みの幻の酒米を苦労して栽培し日本一の日本酒を作る若い妹の物語。
周囲の反対を押し切り意固地なまでに理想の日本酒作りに執念を燃やす主人公のその動機付けがちょっと弱い気もするがまあそれはヨシとして徐々に情熱が絆されてひとりひとりと味方を増やしていく。
今よりずっと若い松下由樹が悪役やってるのはなかなかイイ(笑)
ドラマの前半は特に栽培が難しいと言われる幻の酒米「龍錦」を無農薬で育てる困難さや軋轢、迫害に時間を大きく割いてあり今の農業や農家の現実が綴られている。
まあこれはこれで展開上仕方ないのだが長い間、本筋である酒の話しよりも米造りの話しになってしまってタイトルは「夏子の米」だったけなと勘違いするほど(笑)
炎天下で野良仕事やりまくりの和久井映見が色黒になっていかないのは気にはなる(笑)
それに途中から松下由樹に変わりなにやら平泉成が悪役っぽくなってしまってはいるがよくよく考えてみれば一人のカネモチ小娘のアホ道楽から地域農家の利益を守ろうとしてる彼の方が余程正論を話しているように聞こえてしまう。

保守的で閉鎖的なド田舎で若者が自分の「夢」に向かって邁進するには何をも犠牲にする覚悟と妨害にも負けない鉄の意志が必要なんだと訴えたいのだろう。
今は亡き高松英郎のいかにも頑固そうなオヤジがとにかく印象的である。
四季を画面に表現するのに本当にその季節を待って撮影した作品だと聞いた。
その効果もありリアリティはかなりのものだ。
その反面ドラマの尺の問題もあったのだろうが米造りの描き込みに比べて酒造りに関してはやや駆け足で淡泊になってしまった感がありありではあるがまあなんとかその困難さを伝えているように思う。
恋愛絡みに余分に時間が取られているようで残念だ。
西洋におけるワインがそうであるように「日本酒」って言うくらいだからこの国に最も浸透していなきゃならないハズの日本酒だがまあ業界の問題もあって紛い物が氾濫してしまい自滅に近い形で本物はマイナーでマニア向けになりがちだ。
もっと上質で鮮烈な美味さの日本酒が安く流通するようになるためにはこういうドラマがもっと出てきて一般大衆の啓蒙が必要のかも知れない。

旨い日本酒飲みたくなった・・・・(笑)