らをた広島

食べ歩きブログ

キングクリムゾン/クリムゾンキングの宮殿

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ロックの新たな始まりと終焉を同時に内包したアルバム。
これがキャッチコピーのこのアルバム。
あのビートルズ最後の作品「アビィ・ロード」を一位から奪い去ったことで有名だ。
しかしジャケットのインパクトは凄いもんがある。
初めてこのアルバム(当然レコード)を手にしたのは中学生だったと思うが怖くて直視できなかった。
このレコードを見て親が内容を心配して検閲されたほど(笑)
そのエキセントリックなジャケットに負けず劣らず一曲目の「21世紀の精神異常者(タイトルがまたトリッキーだが)」でそれこそ完膚なきまでに打ちのめされる。
なんぢゃーこれは!
またこの曲は歌詞も独善的、前衛的だ。

http://www.youtube.com/watch?v=qxutknjImcY&feature=fvst
猫の忍び足 鉄の爪
神経外科医達はさらに多くを求めて叫ぶ
妄想者の有毒な扉のところで
21世紀の精神病者
血塗られた拷問台 有刺鉄線
政治家を火葬するための薪の山
ナパーム弾の炎に侵される無垢なる者たち
21世紀の精神病者
死の種 理性なき者の強欲
詩人に飢えた子供達は血を流す
本当に欲しいものを彼は何一つ得られない
21世紀の精神病者
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当時中学生だった自分にこのレベルの歌詞が理解できるはずもなく意味不明だったが歌詞専門メンバーまでいたキングクリムゾンの紡ぎだすそのインテリジェンスに憧れたものだ。
シンセサイザーがまだない時代、その前身ともいえるメロトロンを駆使して40年も昔にこれだけの複雑なアンサンブルを展開しているなんて尋常ではない。
現代の少なくとも邦楽はまだこれの背中すら見えていないだろう。
エピタフ→ムーンチャイルドと幻想的でオリジナリティ溢れるスローナンバーが続くきトータルとしてはヘヴィーな曲より実はバラード系にこのバンド本質があると言える。
ラストのアルバムタイトル曲であるクリムゾンキングの宮殿はもはや壮大な交響曲でメロトロンを効果的に使用して荘厳なクラシック交響曲の如く凄まじいばかりの終焉を迎える。
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グレッグレイクの哀愁を帯びた歌声もロバートフィリップの変則ギターもイアンマクドナルドのメロトロンもそれぞれ素晴らしいのだがこれだけのしっかりした独自のコンセプトを貫き通したマネジメント能力には感服するばかりだ。
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近年では日本でも音楽が売れないと業界が嘆いているが業界主導で適当にメンバーを集めて海外アーティストの曲をコピーギリギリにウマく手直ししてお気軽に CDだして荒稼ぎしていたツケが回ってきたと言うべきでじっくり才能あるミュージシャンを育てようとしないからこんなクリムゾンキングの宮殿のような「恐ろしいほどの傑作」も生まれないしマーケットも理解できないだろう。
プログレッシブロックの歴史に燦然と輝くまさに文字通りのホンモノの中のホンモノ。

http://www.youtube.com/watch?v=QGQHL0t_uyU