「沈黙の艦隊」「ジパング」などのかわぐちかいじのコミックを原作にしたミリタリーサスペンス。
波留間群島の一部占領を受け、現場に向かう航空機搭載護衛艦の乗組員の運命を多角的に映し出す。
『MOZU』シリーズなどの西島秀俊、『超高速!参勤交代』シリーズなどの佐々木蔵之介らが出演。
日本の置かれている状況を反映したドラマに引き込まれる。
20XX年。
日本最南端沖で国籍不明の漁船20隻が発砲を開始し、波留間群島の一部を占領して海上保安庁の隊員を捕らえる。
日本政府は、航空機搭載護衛艦いぶきをメインにした艦隊を派遣。
お互いをライバルとして意識してきた航空自衛隊出身のいぶきの艦長・秋津竜太(西島秀俊)と海上自衛隊出身の副長・新波歳也(佐々木蔵之介)は、この未曽有の事態を収束しようとする。
原作では中国と日本の自衛隊の局地戦が描かれるのだがそれが映画化されると多くの人から期待された作品。
それが実写版では中国から東亜連邦なる東シナ海の架空の右翼島国に変更されてしまった時点でもはや別の映画だ。
専守防衛なる足かせをされた日本で中国の侵略にどう対抗するかという生々しくも最重要テーマはすっ飛でしまったのでその辺は割り切る必要がある。
そうなると本来の思想から映画界が得意のお花畑左翼作品に成り下がってるんじゃないかと心配した。
戦闘シーンも先日観た同じ洋上戦闘シーンの多いグレイハウンドの足元にも及ばないショボいものでこの方面でもがっかり感が強い。
後半にやっと戦闘機が登場するが艦隊戦よりはマシだがCGがマンガっぽくてクオリティがイマイチだ。
東亜連邦との戦闘に最終的には中国が味方加わって世界はひとつ、みんな友だちとかもうこうなったらやっぱり左旋回してしまったかの印象が強い。
時折都内の中井貴一店長のコンビニのシーンが入るのだがこれが何の必要があるのか最後まで理解できなかった。
ラストは中国を含む国連軍に助けて貰うという摩訶不思議な事態に至っては相方口が塞がらん、ええかげんにせー!と嘉門達夫の懐かしい歌が脳裏をよぎった。
自衛官の全面協力があったそうだが完成した映画を観た自衛官も頭ぶん殴られて椅子から転げ落ちる思いがしたであろう、空母いぶきだった。