原爆をつくり上げた中学教師が、国家を相手に理不尽な要求を突きつけていく痛快犯罪サスペンス。
中学校の理科教師、城戸誠。東海村の原子力発電所からプルトニウムを盗み出し、自宅のアパートで原子爆弾の製造に成功する。
城戸は原爆を武器に、警察に対してプロ野球のTV中継を最後まで見せろと要求。
続いて城戸は、ローリング・ストーンズの日本公演をラジオ番組を通じて要求する……。
「原爆を作って政府を脅迫する」という内容の日本映画。
大掛かりなカーアクション、国会議事堂や皇居前をはじめとしたゲリラ的なロケーション、シリアスで重い内容と、エネルギッシュな活劇要素が渾然となった作品である。
原子爆弾製造や皇居前バスジャックなど、当時としてもかなりきわどい内容となっている
沢田研二・菅原文太主演の1979年10月6日に公開された日本映画。
どうでもいいが1979年と言えば昭和54年だからちょうど機動戦士ガンダムがテレビで初放映されていた時期だ。
劇中にプロ野球が出てくるのだが巨人の監督は長嶋茂雄だし広島カープの守護神は江夏豊だ。
水谷豊や風間杜夫が脇役待遇で出演しているのも今から思えばなかなかレアではある。
悪のヒーローが沢田研二で相手役の警察官が菅原文太と逆じゃないかと思えるキャスティングも面白い。
2時間半とどちらかといえば長い部類の映画だが明らかにムダと思えるシーンもあってここらへんを切り詰めてもう少し短くして欲しいところだ。
皇居や国会議事堂を逮捕覚悟でゲリラ撮影していたようでコレはかなりヤバい方法で撮影した作品のようで確かに問題作なのは間違いない。
作中のBGMでYAMASHITA という菅原文太扮する山下刑事の登場時に流れる印象的な曲があってコレが何とヱヴァンゲリヲン劇場版で使われていた曲でもちろん、オリジナルはこの映画だとは知らなかった。
しかし核兵器で脅しての要求がローリングストーンズの日本公演とはいくら何でも内容が弱いように思えなくもない。
さくの東京の雰囲気や撮影方法がちょうど同時期にやっていた西部警察によく似ていてそういう意味でも馴染み深い。
後半はSA22C型、初期型RX-7が逃げてそれをコスモAPが追うというまるでマツダがバックアップしてるかのような(実際提携している)ド派手なカーアクションが展開するがこれらがベコベコになって相当に気合いとカネがかかっている。
まだCGがない時代に役者やスタントマンが危険極まりないシーンを体を張って凄まじいアクションをやっているのは正直頭が下がる思いだ。
ラストシーンはなんだかちょっとアレではあるがこの時代のギラギラした熱気みたいなのが凝縮していたのはよーく伝わってきた太陽を盗んだ男だった。