137分にも及ぶツェッペリンのドキュメントで、単なるライブ・フィルムではなく、3年間に渡って彼らの活動を追った素材をぶちまけて、その音楽の陶酔に導かれてのイメージ・ショットなどを織りまぜて紡ぐ一大ロック・ページェント。
へヴィ・メタルの元祖である彼らのそうした西欧的大仰さが好きになれない向きにはお勧めできないが、この種の映画としては上出来の部類で、演奏シーンは素直に楽しめる。
ロックがいかに“産業”と化してきたかの証言にもなっている。
レッド・ツェッペリン狂熱のライヴの2枚組LPレコードは持っていたので音源だけは何度も聴いたが映像は初めて観る。
ドキュメンタリーと聞いていたが冒頭は少しだけ通常の映画のようなシーンがあるのだがその意味はよくわからない(笑)
そのシーンは一部、レッド・ツェッペリン狂熱のライヴのアルバムのパッケージの中に掲載されていたのでどことなく見覚えがある。
レッド・ツェッペリンと言えばビッグネームなのにテレビに出演しない事で有名だったのでこの映画の価値と言うのはそこら辺にあるのだろう。
後日ジョン・ボーナムが亡くなってレッド・ツェッペリンが解散しジミーペイジとロバートプラントが来日しニュースステーションに出演したとき二人ともビックリするくらいのチビだったのを知ってテレビに出演しなかった理由がわかった(笑)
それにしても実際の映像を見るとジミーペイジは予想以上にギターを低く構えてよくあんな難しい姿勢でガンガン弾けるもんだと今更ながら感心する。
日本では3大ギタリストと言われるジミーペイジではあるがヘタウマギタリストと揶揄されたりしたもんだがテクニック云々よりこんな魅力的なギターリフを幾つもよく思いつくもんだ。
このライブは1973年らしいから何ともう50年も前と言うことになるがレッドツェッペリンの楽曲がどれも全く色褪せていないのは驚きだった。
ディープパープルやクイーンなど当時好きだったロックバンドのCDは持っているが確かにこの様に映画化でもしていないとそのライブアルバムの映像は見る事が出来ない。
ライブ映像に被せるようにちょいちょい変な寸劇もどきが差し挟まれるがショボいし意味不明だし、コレはない方がどんなにか良いだろう。
ギブソン・レスポール・スタンダードのサンバーストカラーがジミーペイジのトレードマークだったがライブではギブソンのダブルネックギターをよく使っていて実際よく似合っていてカッコイイ。
ライブ映像だから当たり前だが下から煽るように撮影するのでロバート・プラントとジミー・ペイジがとてもチビだとはわからないのだが、ギターの大きさや寸劇の馬のサイズをよく見ると確かにかなり小柄であることがわかるが言われなければ決して気づかないだろう。
寸劇はともかくライブシーンは格別でボウイング奏法の映像は初めて観たが一般的にならなかった所を見ると、何が大きな欠点があるのかも知らない。
代表曲である天国への階段ではジョン・ポールジョーンズがキーボードを弾いているのは知っていたがこの間のベースはどうなったのか長い間の疑問だったのだがこの映画でもその答えはわからなかった(笑)
ここまでジックリとジミー・ペイジのギタープレイを見たことがなかったがリッチー・ブラックモア顔負けにギターソロで左手の小指をよく使うギタリストでコレは今更ながら新しい発見だった。
一気に最後まで観てしまったがコレはレッドツェッペリンファンでなくてもヘビメタ好きなら是非見てもらいたい凄い作品で有ることは間違いない。
レッドツェッペリンが如何に偉大なバンドだったかを思い知らされた一本だった。
感激!