日本では2015年に公開された韓国映画『最後まで行く』をリメイクしたクライムサスペンス。
裏金作りに関わる刑事が、ある事故を起こしたことをきっかけに次々と災難に見舞われる。
メガホンを取るのは『余命10年』などの藤井道人。
『ヘルドッグス』などの岡田准一、『ヤクザと家族 The Family』などで藤井監督と組んだ綾野剛が出演する。
12月29日。
刑事・工藤(岡田准一)は、危篤の母のもとへ急ごうと雨の中で車を飛ばしていた。
そのとき、スマートフォンに署長から着信が入り、署内での裏金作りへの関与を問われた直後、妻からの電話で母の死を知らされた彼は動揺し、車の前に現れた男をひいてしまう。
工藤は男の死体を車のトランクに入れて葬儀場に向かい、母とともに焼こうとする。
そこへ「お前は人を殺した。知っているぞ」とのメッセージが届く。
送信主は県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)で、工藤がひいた男と深い関わりがあった。
裏金作りに手を染めていた刑事なんて今どきの国会議員とリンクするような内容でなかなかタイムリーな内容だ。
韓国映画のリメイクはこれまでも幾つか前例があるがどれもけっこう面白かったのでコレも期待して観た。
別段犯罪をした訳でもないのに活動自粛させられてる広末涼子が出ていて芸能人も大変だと同情してしまう。
冒頭からとどんどんドツボにはまっていく主人公だがそれなりにリアリティがあって如何にも実際にありそうな話しではある。
年末年始が舞台なのは何かしら意味があるのだろうが、主人公が古いプリメーラに乗っているのは時代的にいつの設定なのだろう??
ストーリーは確かによく出来ていてあっという間にこの作品の世界観に引きずり込まれる。
岡田准一と綾野剛のそれぞれ2つの物語が途中で交錯して複雑に絡み合う組み立ては複雑だがわかりやすく先が全く読めない。
ホラー映画のような暗い映像は独特の雰囲気を生んでいて作品に持続的な緊張感を与えるのに役立っている。
時折、画面を横倒しにして縦長に魅せる演出も最近流行っているのかなかなか効果的だ。
磯村勇斗が脇役で出てるが相変わらずらしい演技で存在感があるのはさすがだ。
警察内部の腐敗がこの作品の裏テーマみたいなもんだと思うが何処となくこんな話はありそうで恐ろしい。
年末が舞台なのも最終的にちゃんとその理由が回収されていて納得してしまった。
ラストのオチもちゃんと用意されていてよくよく練られた脚本はさすがとしか言いようがなく、エンターテイメントとしてキチンと大事なツボを抑えてある映画に仕上がっている。
男臭いハードボイルド作品として見応えがあってタイトル通り本当に「最後まで行く」だった。
最近の日本映画は質が想像以上に向上してるのは間違いなさそうだ。