かわぐちかいじの名作コミック「沈黙の艦隊」を、大沢たかお主演・プロデュースで実写化。
2023年9月に公開された劇場版にはない未公開シーンや、劇場版の続きとなる沖縄沖海戦、そして東京湾海戦というクライマックスまでを含め、全8話の連続ドラマとして描く。
潜水艦の艦長・海江田四郎を含む乗員全員が死亡とされたが、実はその事故は日米が極秘裏に建造した日本初の高性能原子力潜水艦「シーバット」に彼らを乗務させるための偽装工作だった。
ところが、海江田はシーバットに核ミサイルを搭載すると突如反乱を起こし、逃亡。海江田を元首とする独立戦闘国家「やまと」と名乗りを上げる。
アメリカはやまとを核テロリストと認定して撃沈を図り、海自ディーゼル艦「たつなみ」はそれよりも先にやまとを捕らえようと追跡を開始する。
そして、たつなみ艦長の深町洋は海江田に対し並々ならぬ感情を抱いていた。
出演は大沢のほか玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、笹野高史、夏川結衣、江口洋介ら。Amazon Prime Videoで2024年2月9日から配信(2月9日に1~6話、2月16日に7~8話が配信開始)。
劇場版が公開された時に観に行こうかと思ったが日本Amazonスタジオ製作と知り、Amazonプライムで公開されるのを待っていたら何と劇場版を含めて拡大されて全8話のドラマとして配信された。
沈黙の艦隊は原作は読んでいないが、昔学生の頃レンタルビデオで借りてアニメ版を全部観た記憶がある。
全体にアニメ場に忠実な実写化がされているように思うが、シーバットが出港する前に主演の海江田四郎が潜水艦の船体にナイフで「やまと」と船名を彫るシーンは楽しみにしていたのだが劇場版ではカットされていてガッカリした(笑)
潜水艦は国家機密の塊と言うが自衛隊の全面協力と最新のCG技術でかなりリアリティあるように描かれている。
主演の大沢たかおはガッチリとした体格でアメリカ人俳優相手に見劣りすることなく演じていて途中からは完全に海江田四郎に見えてきてしまった。
昨今の地上波ドラマのは比較にならんほどのオカネがかかっているのが直ぐにわかるしココらへんはAmazonスタジオ製作による優位性が遺憾なく発揮されている。
ただちょっと気になるのはズラリと並べた日本の実力派俳優陣は確かに納得の行くメンツなのだが頻繁に出てくるアメリカ軍、アメリカ政府要人演じる俳優陣の軍人らしからぬだらしない体型やら如何にも新人バレバレと言った力量不足がちょいちょい感じられてしまう。
まあ有名ハリウッド俳優を使うと制作費が跳ね上がるから仕方ない事なのはよくわかるが力作なだけにアラが見えてしまうのだろう。
官房長官秘書役の岡本多緒は世界的なモデル出身らしいが多くのキャストの中で一際目立っていると思う。
内容が内容だけに時代設定をどうするのか興味があったが現代に置き換えられているようだ。
自分が大学生だった40年前ならいざ知らず現代だと敵国が中露北と劇中でハッキリさせているのは素晴らしい。
同じかわぐちかいじ原作の「空母いぶき」みたいに原作では敵国だった筈の中国が映画になると友軍だったなんて茶番は絶対あってはならない。
原子力潜水艦に核武装など北からミサイルがバンバン飛んでくる現代に真剣に国防を考えさせるこんな骨太なドラマを堂々とやるなんて左巻きヘタレ地上波テレビでは絶対に扱えないだろう。
日本国内閣総理大臣、竹上登志雄を演じる笹野高史だが、最初は風見鶏みたいなフラフラした印象で何処かの国の現役総理大臣と被って苦々しく思っていたが途中から見違えるように逞しい指導者になり、ちょっと羨ましくなってしまった。
しかし全8話全てが実質映画品質であるこんなドラマを観せられるとショボい地上波ドラマなんぞアホらしくて見ていられなくなりそうでちょっと怖い(笑)
よく考えてみれば原子力発電を持つ日本が原子力潜水艦や原子力空母をどうして持っていないのか不思議に思える。
特に現代のような国際状況だからこそ特に核兵器搭載可能な高性能原子力潜水艦を持つことは戦争抑止に大いに威力を発揮するんじゃないか。
実際、第七艦隊に囲まれた「やまと」が現状を打破したのは核抑止力に他ならない。
要は核兵器を持ってさえいれば攻撃されない訳でこれ以上の戦争抑止は無いことになるからこそ、北朝鮮も必死で核開発やってる。
30年前ならこんなのは完全なフィクションだったが今となってはリアリティがあり過ぎて恐ろしいくらいだ。
最後の方にマスコミの腐敗もチクっと揶揄していてココらへんは、現在の報道機関の堕落を予言していたかのようだ。
あまりにも面白すぎて8話なんて2時間くらいに感じてしまったが好評につき続編が作製されるそうで今から首を長くして楽しみに待ちたいと思った沈黙の艦隊だった。
素晴らしい。