SF映画の金字塔として誉れ高い、巨匠リドリー・スコットの1982年監督作『ブレードランナー』に、最新技術のデジタル処理を加えた“ファイナル・カット”版。
当時、衝撃的な近未来映像と評された本作を、美しい映像でよみがえらせ、最新デジタル上映で公開する。
主演は『スター・ウォーズ』旧3部作シリーズのハリソン・フォード。
先駆的な映像美のみならず、初公開から25年を経た現在も色あせない哲学的要素の濃いドラマにも驚かされる。
放射能で汚染された2019年のロサンゼルスで、高度な知能と強靭な肉体を持った、人間とほぼ同じ外見をしているアンドロイド“レプリカント”が、人間を殺害して逃亡を図った。
そのレプリカントの解体処分が決定され、レプリカント抹殺専門の賞金稼ぎであるデッカード(ハリソン・フォード)が、単独で追跡調査を開始するが……。
言わずと知れたSFの名作ブレードランナー。
大学生の頃にレンタルビデオで借りて観た記憶があるが当時のRX-7(FC3S)のテレビコマーシャルでテーマ曲がかかってクルマととてもよく似合っていて感激したもんだ。
この作品の舞台は2019年のロサンゼルスなので気がつけば今の方が時代が先に進んでしまっているのが不思議ではある。
劇中に登場する都市は明らかに日本の東京か大阪あたりを意識していて実際に日本語が使われていたりする。
ブレードランナーと言えばハリソンフォード主演ではあるが、個人的に強烈なインパクトを残したのは敵役のルトガー・ハウアーである意味完全に食われていたように覚えている。
ディスプレイが液晶ではなくほとんどブラウン管なのはまあ仕方ないが、キャストがスパスパタバコ吸いまくるのはいかにも昔の映画という感じはある。
タイトルのブレードランナーだが、そもそもこの映画の原作は フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という小説でその中にはブレードランナーという言葉は出てこない。
映画化に当たって反抗的レプリカント取り締まり専門官の事をブレードランナーと言う造語で表現したようだ。
1982年公開と言えばもう40年も前の作品になるが若干古さを感じさる場面も確かにあるが独特の世界観と言うか画面から醸し出される荒れ果てた未来の雰囲気を考え出したのは凄いことだ。
この不思議な世界観に影響を受けたSF作品は山ほどあると言う事はそれだけこの作品が画期的だったと言う事だろう。
特に日本のAKIRAや攻殻機動隊はブレードランナーが無ければ生まれなかった作品とも言えるだろう。
ストーリーはそれほど難解ではないのですんなり物語に入っていけるが、まだCGが実用化されていないので特撮映像は作り物っぽくチャチで笑える。
この映画の市街地シーンが常に雨の夜なのは空飛ぶクルマを吊るしているワイヤーを誤魔化す為だというのは有名な話しだ。
今見てもルトガー・ハウアーの怪演はトリハダものでこのヒトの狂気じみた気色悪さが作品のグレードをかなり引き上げているのは間違いない。
キムタクと同じく「何を演じてもハリソンフォード」でお馴染みの大根演技は今も昔も現在で、コレがルトガー・ハウアーを際立たせているのも事実だ。
近年になって続編が製作され全然面白くなかったが、どうせならこっちを現代の技術でリメイクして欲しかったブレードランナー ファイナル・カットだった。
もちろん、エンディング曲はオリジナルと同じでお願いしたい。