監督
市川崑
脚本
日高真也
桂千穂
市川崑
原作
横溝正史
出演者
石坂浩二
中井貴恵
高峰三枝子
司葉子
岸惠子
仲代達矢
萩尾みどり
沖雅也
加藤武
大滝秀治
神山繁
小林昭二
伴淳三郎
三木のり平
草笛光子
坂口良子
白石加代子
石田延之
中島久之
佐々木剛
佐々木勝彦
冷泉公裕
高野浩幸
常田富士男
大道寺家の美女・智子をめぐり、婚約者の座を狙う男たちが次々と殺されるという不可解な連続殺人事件に金田一耕助が挑む。
だがそこには意外な結末が・・・。
当時この小説は読んでいたしキャストもかなり豪華で、この作品も観たような気がするがさすがにスッカリ忘れていた。
小説ではこの物語のキモになる女性が居てその表現がとにかく絶世の美女とあったのでそのイメージを膨らませていたのだが、実際は当時新人だった中井貴惠で当時ガキだった自分もココでまずズッコケたのを覚えている(笑)
女王蜂というタイトルからしてこの中井貴惠絡みな事は間違いないのに、今見ても同作に出演している他の女優さんの方が…(汗)
仮面ライダー2号で一躍有名になった佐々木剛が出ていたが懐かしさで泣きそうになった。
横溝正史作品と言えばだいたいど田舎の豪邸で金持ち一家の連続殺人事件というパターンが多い。
犬神家の一族にも出演していた加藤武だがこの作品でもお笑い役と言うか独特の味で強烈なスパイスを効かせている。
同じ市川崑監督作品なのでどうしても犬神家の一族と比較してしまうのだが制作費が違うのかどうにも全体にスケールが小さくて、まるでテレビドラマのようだ。
血縁関係が複雑で家の中に婚約者候補が二人居て外に本命がいるなんてどこからどう見ても犬神家の一族と同じ構成になっていて出演者まで被っているので途中から何がなんだかわからなくなってしまった(笑)
ただ犬神家の一族と比較して昭和初期の独特なおどろおどろしさの演出がやや弱く、何ていうか作品全体に漂う暗く淫靡な恐ろしさみたいなのが足りない。
とにかくキャストが豪華なのは確かだがそれに内容が伴っていない印象でトリックも単純だ。
やはり今見直しても準主役たる中井貴惠が演技力的にもハマっていないのでどうにも作品に入っていけない。
新人だった中井貴惠の起用にはまあ大人の事情があったのはわかるが市川崑くらいの大御所監督さんならどうにかして欲しかったところだ。
犬神家の一族では原作者の横溝正史や角川春樹事務所の角川春樹氏がチラッと出演していたがそういうお遊びはこの作品にはもうない。
どことなく急作りな感じが滲み出てしまっているのはおそらくはこの大勢の豪華キャストの日程のやりくりが原因だろう。
最後まで舞台劇をみているような不思議な感覚に取り憑かれてしまった女王蜂だった。