父を殺したいほど憎んだ雨の日、小学生の松本香は、全日女子プロレス(全女)の練習場に足を踏み入れ、一目でジャッキー佐藤の輝きに魅せられる。
高校卒業後、女子プロ入門のオーディション会場に駆け込み、ぎりぎり入門を許された香だったが、同期の北村智子、長与千種らとともに厳しい練習、先輩レスラーからの過酷な指導に耐える日々が待っていた。
運動神経の良い智子とは対照的に、香と千種はプロテストに落ち続け、香に至っては営業部として巡業宣伝に回される始末。
そんな落ちこぼれの二人は、練習場のリング下でジャッキー佐藤への憧れを語り合い、「強くなるしかない」と誓い合う。
やがてプロデビューを果たした千種はリングで輝きを放ち始め、ライオネス飛鳥(智子)とともにクラッシュ・ギャルズを結成し、スターの階段を駆け上がる。
一方、そんな親友の背中を羨望と嫉妬の入り混じる思いで見つめる香は、あることをきっかけに、奇抜なメイクと鉄の鎖を片手に「ダンプ松本」として唯一無二のヒールの道を歩み始める。
極悪同盟・デビル軍団
松本香/ダンプ松本(演:ゆりやんレトリィバァ)
本庄ゆかり/マスクド・ユウ/クレーン・ユウ(演:えびちゃん・マリーマリー)
デビル雅美(演:根矢涼香)
影かほる(演:戸部沙也花)
堀あゆみ/ジャンボ堀(演:安竜うらら)
マキ上田(演:芋生悠)
ラブリー米山(演:鎌滝恵利)
全5話の日本のネットフリックスドラマ。
何年も前からこのドラマの撮影をしている事は伝わっていたが主役のゆりやんレトリィバァが怪我したとかで伸び伸びになっていたのがネット記事になっていた。
ネットフリックス資本の作品なので当然ながら途方もない制作費がかけられていてそこら辺の地上波ドラマとはデキそのものが違うのが素人目にもよくわかる。
特にこの70年代の風景を再現するのにネットフリックスらしくこだわりは凄いようで細部に渡って徹底されているがコレはカネがかかるだろう。
見どころは色々あるだろうが個人的には唐田えりかの復帰作でもある事に注目している。
当時も今も女子プロレスどころかプロレス自体にあまり興味がないので詳しくはないが100歳近い曽祖父が当時テレビにかじりついて必死で観戦していたのをよく覚えている。
今では考えられないが確かに女子プロレスがゴールデンタイムにテレビ中継されていたし社会現象と呼べるほどの人気があったのも事実だ。
それでもあの有名な悪役レスラーのダンプ松本の半生を描いているので観たかったのは事実でホントに楽しみにしていた。
ゆりやんレトリィバァと言えば何年前にライザップのCMに出てかなり痩せていたと思うが今回の役柄に合わせてか以前と同じかそれ以上に太ってる(笑)
プロレス好きの女の子が有名な悪役レスラーになるまでを描いているようだが、かなり肉体勝負なのでそりゃ怪我もするわなと妙に納得した。
以前は事務所の力で良い役ばかりやっていた剛力彩芽も、まさかの女子レスラー役で無茶苦茶身体を張っていて新境地への意気込みが感じられる。
唐田えりかはそれこそ事務所のお陰で出れたような自動車保険のCMくらいしか知らないが例の不倫騒動で割りを食ったが、なかなかどうして見栄えする女優さんだ。
しかも出演女優はプロレスラーと言う役柄上、ほぼノーメイクで頑張っているのにも頭が下がる。
コンプライアンスに縛られないネットフリックスだから実際あったであろう反社との繋がりについてはさすがに触れられていないようだ。
怪しいプロモーターを音尾琢真が演じていて胡散臭さが滲み出ていて笑える。
プロレスラーならやはりそれらしい体型をしていないといけないが、ガリガリの女優はおらず皆役作りをやっているのがよくわかる。
剛力彩芽なんて以前はガリガリで華奢だったはずだけどしっかり体作りしているのがわかる。
CGを使っているのかわからないがそれにしてもこの文字通り身体を張った女優さんの気合と根性には本当に頭が下がる。
一番の驚きはちょっと前のネットフリックスドラマ、サンクチュアリ同様に女優たちの体格が見る見る変化して鍛え上げられたプロレスラーになっていく事だ。
サンクチュアリは男ばかりだったからまだわかるが女性がここまで筋肉つけようとするのは並大抵ではない。
剛力彩芽なんて筋肉が盛り上がるくらいになってるのは相当に鍛えないとこうはならんだろう。
聞くところによるとゆりやんが40キロ、唐田と剛力が10キロの増量らしいがここまで徹底してやってるのはさすがはプロだなあと脱帽する思いだ。
コレが見どころの作品だと言うことは重々周知しているとはいえそれでも凄まじくてここまでやると説得力がある。
世間一般でのダンプ松本のイメージとは遠くかけ離れた松本香の優しい素朴な素顔描かれていてコレは確かに面白い。
コレがほとんど実話ならかの有名なダンプ松本はやむにやまれず誕生したというわけだ。
物語の折り返しになる第3話は松本香がダンプ松本に闇落ちする過程が詳しく描かれていて鬼気迫るゆりやんレトリィバァの演技と明らかにレスラー体格になった風貌にコレがこの作品の最大のハイライトなのだろう。
昭和をリアルに再現しているのでクルマや服装はモチロン、ほとんどの男性がタバコ吸いまくり、イジメ、パワハラ、暴力当たり前で今から思えばむちゃくちゃな時代だったのかも知れない(笑)
プロレスシーンは全部が全部ではないと思うがかなりの部分で本当に当てたり、投げたりしているようにしか見えず、演技だけどここまでの体格を作った女優さんがガチで身体を張っているのは見たことが無い。
しかも今回のこのドラマはネットフリックスらしくなく、エログロがほとんどないのも個人的には好印象だ。
CGに頼ることなく役者がプロ根性丸出しでぶつかってるからこそこれだけの感動をもたらしてくれるのは間違いない。
以前からこの激しい肉弾戦が日本のエンタメ最大の弱点だと常々思っていたがサンクチュアリや今回の極悪女王がブレイクスルーになるかも知れない。
最終話の決戦のゆりやんレトリィバァはもはや何かに取り憑かれたような狂気を演じていてその凄まじさに圧倒される。
最終話は感動して泣けて仕方がなかった。
この作品でゆりやんと唐田えりかの女優としての評価は大きく変わるだろうが、それにしてもこの役者魂は尊敬に値する。
それにしてもどえらい作品を立て続けにリリースしてくるネットフリックスだが他のネット配信もハイレベルな外資系日本作品競争になっているが、将来的にはドラマはコチラが主流で実質有料になり無料の地上波ドラマは新人監督の登竜門か新ジャンル開拓の試験的な低予算作品ばかりになりそう。
色々考えさせられた極悪女王だった。