公開1969年7月26日
ヤクザ連合組織、関東桜田会が警察の圧力を逃れるため偽装解散。
しかし、傘下の一家がこれを承知せず、桜田会と関西ヤクザとの標的になる。
一家の幹部になるのが小林旭で、仲間を殺され、ラストに雨と泥と血まみれになりながら殴り込みをかける場面が印象的。
スタッフ
監督:長谷部安春
キャスト
小林旭
葉山良二
藤竜也
岡崎二朗
中丸忠雄
姫ゆり子
佐々木孝丸
名和宏
この日活映画の公開が1969年、東映の仁義なき戦いが公開されたは1973年1月13日だから時系列的にはこちらの方が先になる。
主演は小林旭で当然ながら驚くほど若いのだがそれより藤竜也が同じヤクザで出てるが若い頃から渋かったようだ。
どうしても東映の仁義なき戦いシリーズと比較してしまうのだが、時代劇チックな大昔のヤクザ映画より現代的で確かに後の仁義なき戦いに影響を与えているのは間違いないが、全体の作りとしては主役のヤクザはまるで正義の味方なのは昔のままだ。
それにしても当時の日本の風景を見るだけで懐かしいというか、それでもどことなく活気があって、如何にも高度成長期という雰囲気が画面から伝わってくる。
全体に昔のヤクザ映画と仁義なき戦いシリーズのちょうど間の過渡期のような感じで、ハッキリ言えば内容は中途半端で雑だ。
まあそれでも1時間半少々の短い尺なのでどうにかガマンしてついて行ける。
女優さんは見事に誰も知らないが昔は今みたいに整形だメイクだと誤魔化す手段がなかったはずなのにキレイなヒトがたくさんいてビビってしまう。
途中からヤクザ映画と言うよりカネを巡るビジネスドラマみたいになってきてなんだか趣旨が変わってきてつまらない。
こうして見ると、実録シリーズと呼ばれた仁義なき戦いが如何に完成度が高く魅力的な作品だったのが非常によくわかる。
暴力シーンも時代劇の名残が感じられチャンバラに近い。
主役の小林旭もそれほどカッコよくは描かれておらずとにかくずっと消化不良感が漂っていてなんとなくイライラさせられる。
ラストもこれまた際限なく雑な展開で盛り上がりに欠けてとにかく退屈で眠くなってしまった。
こう言うヤクザ映画の行き詰まりみたいなものが結果的に仁義なき戦いを生み出したモカも知れないと思うと何となく感慨深い気もしないでもない広域暴力 流血の縄張(しま)だった。