孤独な大道芸人の男が、絶対的な悪へと変貌するさまを描いた『ジョーカー』の続編。
前作から2年後を舞台に、悪のカリスマとして祭り上げられたジョーカーが謎めいた女性と出会う。
トッド・フィリップス監督とホアキン・フェニックスが再び手を組む。
『ハウス・オブ・グッチ』などのレディー・ガガのほか、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナーらがキャストに名を連ねる。
ピエロのメイクで大道芸を披露していたジョーカー(ホアキン・フェニックス)。
彼の前に謎の女性リー(レディー・ガガ)が現れたことをきっかけに、彼は理不尽な世の中の代弁者となり、狂乱は世界中へ拡散する。
孤独で心の優しかった男性は変貌し、次第に暴走を始める。
タイトルの「Folie à Deux」(フォリ・ア・ドゥ)はフランス語で「二人狂い」という意味だが要するにそういう内容だと言う事だろう。
ジョーカーの一作目は興行的にも大成功したがこの二作目は評価が賛否両論で興行的には散々だったようだ。
一作目は自分も観たが心にドスンと来るものがあってかなりの力作だと感じた。
今回も主演のホアキン・フェニックスは驚くほどガリガリに痩せていてこれ程徹底した役作りには頭が下がる。
この作品ではレディ・ガガが共演していてかなり重要な役を演じているが、彼女は元々歌手なのでミュージカルみたいにならなきゃいいが、といらん心配をしてしまった。
荒廃した雰囲気を出したいのだろうかタバコを吸うシーンが散見されるが最近じゃタバコもCGでホンモノソックリに表現されるようなので、コレを利用しているのだろうか。
やはり心配していたミュージカルは現実になりココでちょっと苦手意識を強烈に感じざるを得なかった。
中盤からはもはや本格的なミュージカル作品になってしまってさすがに興醒めしてしまった。
ずっと刑務所の中での展開なのでまるで舞台劇を見ているかのようで、代わり映えしない映像に辟易してしまう。
その間で非現実的なミュージカルで誤魔化されたようでコリャ叩かれて興行的に失敗したのもさもありなんだ。
ホアキン・フェニックスが名優なのは認めるとしてもそれだけを強調するのは監督の自己満で終わってしまう。
例えば超絶テクニックのギタリストが居たとしても肝心の奏でる曲がつまらなければ誰も聴いてくれないのと同じ理屈だ。
どえらい金額の制作費がかけられたらしいが俳優の出演料に大方が消えてしまって映画の質の向上には役立っていないようにすら思えてくる。
現実と妄想が入り乱れしっかり観ていても何が何だかわからなくなる造りも如何なものか。
そうなると2時間17分と言う上映時間は限りなく長く感じられ中盤からは残り時間ばかり気にしながらまだかまだかと終るのを待つことになった(泣)
一作目に感じたジョーカーの苦しみとか狂気とか悲しみとかそう言った崇高なモノは感じられないのも残念ポイントが加算される要因だ。
とにかく自分のような恋愛モノ、ミュージカルが苦手なヒトにはかなりツライ作品で有る事は間違っていない。
一作目があまりに良かったのでソレに引っ張られて観るとガッカリする事になりそう。
何度も何度もリタイアしようかと思ったがまあまあと自分を奮い立たせてどうにか思い留まった。
特にラストの30分は実際かなりシンドくてアクビ連発で涙ぐんでしまった(笑)
どうにかラストまでリタイアせずに完走したがこれは確かに賛否両論入り乱れるのは確実て、自分のように期待していたのと全然違う!と感じたヒトは少なくないだろう。
映画にウンチクを求めるヒトには理解出来るのかも知れないがアッサリエンタメを楽しみたい層には絶対に刺さらない作品ではある。
ラストのどんでん返しはまあまあ面白いがコレをやるならもうちょっと早い段階でやってくれたらどんなに良かっただろうと声を大にして言いたかったジョーカー:フォリ・ア・ドゥだった。