らをた広島

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ブラック・ジャック

劇場公開日:1996年11月30日

医師免許を持たない名医ブラック・ジャックが、新種の病原菌に挑むメディカル・サスペンス・アニメーション。

監督は同作品のOVAも手掛けている出崎統

手塚治虫の同名コミックを原作に、「原由子☆眠れぬ夜の小さなお話」の森絵都と出崎が共同で脚本を執筆した。

声の出演に「土俵の鬼たち」の大塚明夫や、宝塚出身で、女優のほかにテレビ・アニメ『るろうに剣心』などで声優としても活躍している涼風真世らがあたっている。

ブラックジャックと言えば自分がまだ中学生の頃、全盛期だった少年チャンピオンに連載されていてコミックスも買って熟読していた。

そんなブラックジャックの劇場版があったなんて知らなかったのだが今から30年も前のアニメーションとは思えないくらいにキレイな映像にまずは驚いた。

時代的にCGはまだ本格的に実用化されていなかったのかほとんどが手書きのようで凄く手間がかかっているのはよくわかる。

この作品はオリジナルではなく原作があるようだが読んでいる筈の作品は思い出せなかった。

内容は原作が書かれた頃なら夢物語だったろうが今となってはリアリティがあり過ぎて怖いくらいなのはさすがは手塚治虫先生と言ったところだろう。

ブラックジャックと言えば、「アッチョンブリケ」とピノコが叫ぶ意味不明なシーンが何度もあったがこの作品ではどうなるかちょっと期待してしまう。

1時間半程度の上映時間ながらストーリーは子供向けにとはとても思えない。

ただラストの納め方はかなり強引でせっかく良かったのに一気に適当になったのは残念だ。

起承転結の「結」でズッコケてしまったのは、ツメが甘いと評価されても仕方なかろう。

ブラックジャックは確かに神がかり的な手術を成功させるお話しだが、その魅力は患者との人間模様だった。

この作品では人間模様は少しだけで、ブラックジャック自身が発病しブラックジャックだけ呆気なく治ってしまうとか、もうちょっとなんとかならんものか。

着眼点は素晴らしいのに膨らませ方が良くないのは間違いなく、これを劇場で見せられるのは辛いもんがある。

原作にももっともっと魅力的なのがたくさんあるので、もっと考えさせられるブラックジャックが観たかった。