楡周平の小説「サンセット・サンライズ」を、『Cloud クラウド』などの菅田将暉主演で実写化したドラマ。
勤め先でリモートワークが導入されたことを機に、東京から東北・三陸の町に移住した青年が、趣味の釣りを楽しみながら癖のある住民たちと交流する。
監督は『あゝ、荒野』シリーズでも菅田と組んだ岸善幸。
『1秒先の彼』などの宮藤官九郎が脚本を手掛けている。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界各地でロックダウンが起きた2020年。
東京の大企業に勤務する晋作（菅田将暉）は、会社のリモートワーク導入を機に東北・三陸の海沿いの町へ越す。
晋作は家賃6万円で4LDKの物件を借り、仕事の合間を縫っては海に繰り出して趣味の釣りを楽しむ日々を過ごす。
持ち前のポジティブな性格で、癖の強い住民たちと心を通わせていくうちに、晋作の人生は大きく変わり始める。
あの宮藤官九郎脚本と言うことで観る事にした。
コロナ真っ只中の地方都市が舞台で、確かにあの頃はいちいちマスクで息苦しかったのをよく覚えている。
漁師丸出しの遊漁船の船頭が最初は誰が演じているのかわからなかったがナントそんな雰囲気も全く無い中村雅俊でビックリした。
しかし今となってはコロナの頃の3密とかソーシャルディスタンスとかアルコール消毒とかコントのようで笑えてしまう。
この作品の中でもあの頃テレビのワイドショーでやっていたバカバカしいまでのコロナ狂想曲を揶揄しているのだろう。
この作品のポスターが菅田将暉が釣りをやってる写真だったので、何処か釣り映画かと期待していたのだが実際釣りのシーンでデカいアイナメわ釣っている。
田舎独特の狭い世間で生活が筒抜けな社会が面白可笑しく描かれる。
さすが宮藤官九郎だけあって基本的にコメディなのだが単なるお笑いではなくヒネリが効いていてちょっと泣かせるというパターンが期待できる。
要は地方都市にコロナの自主隔離してきた菅田将暉と、ど田舎住民との触れ合い物語のようでコレが度々ニヤリとさせられる。
あまちゃんでは東日本大震災を、不適切にもほどがあるでは阪神大震災を扱ってきた宮藤官九郎らしく本作でも東日本大震災が大きく関わっている。
ただジャンルとして、ガッツリ笑わせてくれるのでやはりあの名作あまちゃんの路線と考えて間違いなさそうだ。
それだけではなく地方の空き屋問題を取り扱っていて、着眼点としてはかなり面白くしかも勉強になる。
劇中では「宇田濱」という東北の街が舞台だが、実際は宮城県気仙沼市の事を指しているようでこの作品も気仙沼市で撮影されているようだ。
井上真央の同僚が誰なのかずっとわからなかったのだが、調べてみたら池脇千鶴らしく、随分と昔と変わっていて驚いた。
ストーリーが最終的に恋愛ものに集約されていったのは個人的にちょっと残念で、あまちゃんや不適切にもほどがあるのように惚れた腫れたは度外視した世界観が欲しかったかな。
ただそうだとしても宮藤官九郎らしく、辛気臭い内容なのに辛気臭くならず、ちょっと考えさせられて最後は少し泣けて…期待通りなデキだったサンセット・サンライズだった。
