
第163回直木賞を受賞した馳星周の小説「少年と犬」を実写化したドラマ。
ある少年に会うために東北から九州へ向かう犬が、行く先々で出会った人々と交流する。
監督は『ラーゲリより愛を込めて』などの瀬々敬久。
『あの人が消えた』などの高橋文哉、『孤狼の血 LEVEL2』などの西野七瀬らが出演する。

東日本大震災から半年後の仙台。
職を失った和正(高橋文哉)は、震災で飼い主を亡くした犬・多聞を飼うことにするが、多聞はことあるごとに南の方角を見つめていることに気付く。
多聞と絆を育む和正だが、窃盗団に関与したことで事件に巻き込まれ、その混乱の間に多聞は姿を消す。
その後多聞は滋賀で美羽(西野七瀬)という女性と過ごしていたが、そこへ多聞の後を追ってきた和正が現われる。
二人と1匹の生活が始まるものの、多聞は和正と美羽のもとを離れ、南の方角を目指して歩き始める。

犬を題材にしていて高橋文哉と西野七瀬主演と言う事で観ることにした。
例の事件以来あまり見かけなくなった伊藤健太郎が出演していて徐々に復帰しているようだ。

伊藤健太郎のポジションに入れ代わったように今や売り出し中の高橋文哉だが、とにかくよく見かけるような気がする。
シェパードがこの作品の「犬」と言う事になるが実際のシェパードは想像以上にデカくて迫力があるのでこんな風に普通に野良で歩いてるなんて浮世離れはしている(笑)

それでも小型犬では映画の見栄えが悪かろうと思い、まあ気にしないと決めた。
タイトルからしてこのデカいシェパードが高橋文哉くんと巻き起こすストーリーを楽しみに待っていた。

作品に出てくるシェパードはさすがによく調教されているのか大型犬にもかかわらずとても愛らしい。
劇中、すっかり売れっ子になった一ノ瀬ワタルが久しぶりに悪役で登場するが存在感は凄い。

ストーリーは何ていうかリアリティが乏しくてイマイチ物語に入り込めない。
展開もモタモタしていてリズムが悪くて途中からイライラさせられる。

昭和によくあった不幸のオンパレードみたいな暗い内容はかなりチープで令和の作品にはとても思えない。
それにしても西野七瀬は昔に比べて演技がかなり上達していてこの作品では風俗嬢までやっていて、以前のような痛々しさは微塵もなくなっている。

ロードムービーの様相を呈するが、犬の映画の割にはとにかく辛気臭くて滅入るような内容だ。
役者に予算が全て使われてしまったのかわからないが、トラックと軽自動車の衝突事故でクルマが全然壊れていないのには笑い転げてしまった。

豪華俳優陣はわからないでもないが、もう少し丁寧な映像作りをしてくれないと観ているのがバカらしくなる。
映画終盤で全体像がわかるような展開になっているがさすがにご都合主義と綺麗事過ぎて取ってつけたようで白けてしまった。

お涙頂戴が露骨過ぎるので涙など出るはずも無く早く終わってくれんかと正直思うしかなかった。
もっと犬目線のイヌが中心のストーリーかと予想していたが主旨がとっ散らかっていて纏まりがないような印象だ。

何となくわかってしまっていたラストも感動的に描いてあるがクサ過ぎて苦笑いするしかない。
余計なエピソードが多すぎてもう少し要点を絞って映画化した方がもっとわかりやすくて泣けたんじゃないかと、とにかく惜しかった少年と犬だった。

涙の押し売りはいらんです。