
クリスチャン・カリオン監督作『パリタクシー』を原作にしたドラマ。
東京の柴又から神奈川の葉山へ向かう85歳の女性と、彼女を乗せたタクシー運転手が心を通わせていく。
監督を務めるのは『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次。
山田監督作『小さいおうち』などの倍賞千恵子、山田監督作『武士の一分(いちぶん)』などの木村拓哉らが出演する。

タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を乗せて、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになる。
高野からいくつか寄ってほしい場所があると言われた宇佐美は、寄り道をするうちに彼女と心を通わせるようになる。
やがて、彼女が自らの壮絶な過去を語り始めたことをきっかけに、それぞれの人生が大きく動き出す。

オリジナルの「パリタクシー」は観たのでそのリメイク版であるこの日本映画も観ることにした。
山田洋次監督作品は個人的に一度も面白いと思った事がないくらい好みではないし、何を演じてもキムタクの演技がアレな木村拓哉も苦手なのでどうしたもんかとも思ったがあの「パリタクシー」をどう言うように料理するのか興味がある。

オリジナルが名作だけに最初からハードルは高くなるがそこら辺は大丈夫か?と心配してしまった。
「パリタクシー」の主人公はキムタクみたいな感じではなくかなりくたびれた雰囲気が印象的だったのでどうなんだろう。

それにその主人公が乗っていた日本には輸入されていない大型のルノーもカッコよく独特で良かった。
このTOKYOタクシーだが冒頭で明石家さんまが声だけだが出演していて驚いたが大竹しのぶも声出演は笑えた。

日本が舞台になっているので当たり前ちゃ当たり前だがルノーはハイブリッドのトヨタ・プリウスになっていてシャレたイメージは無くなってる。
どうしても「パリタクシー」と比較してしまうのだが倍賞千恵子はさすがと言うかベテラン女優の貫禄みたいなのが醸し出されていてオリジナルの女優さんに負けていない。

キムタクもそれなりに頑張っていて予想していたよりも悪くないのだが、オリジナルのような過去からくる暗さみたいなのがザックリとカットされていて単なる良い人に描かれている分、薄っぺらく感じる。
その代わりに倍賞千恵子の過去が尺をかなり取ってありこの辺、監督のセンスだろうが辛気臭いシーンが多くてウンザリする。

なんだか昭和の昔の映画を観ているかのような場面もあって最新の映画とは思えない。
キムタクが何時までも若い頃のようにカッコつけた役ではなく、この作品のように等身大の自分にするのならオリジナル通りもっと小汚くダサくするべきだったかも知れない。

キムタクと倍賞千恵子の二人の物語だが、ふたりの関係の変化の速度がエラい駆け足に感じられてもう少しジックリ丁寧に描いて欲しかった。
それとパリの景色と比較すると東京はどうしても何か無機質に思えてしまうがもう少し日本らしい情緒のある場所を選んで撮影して欲しかった。

別段フランス映画のようにする必要はないが画面から感じられるとても最新作とは思えない昔の古い日本映画感はそれ程心地よいとは思えない。
これまでキムタクの作品はあまり好きになれなかったが、この作品では珍しく等身大の演技をしており、巷で言われているほと演技が下手なのではなく、上手く演じられる役の幅が激狭なだけなんじゃなかろうか。

ちょいちょいお笑いみたいなシーンもあるが感覚が古くて全く笑えないのでコレは必要ない。
後半に出演している小林稔侍が年寄りになっていてマジでビックリさせられたが小林稔侍はもう85歳だそうで納得してしまう。

「パリタクシー」は終盤、不覚にも嗚咽するほど泣いてしまったのだがこの「TOKYOタクシー」はオリジナルより相当に薄味でアッサリした展開に良くも悪しくも山田洋次風ではある。
正直、ストーリーを知っていると言うのもあるが全く無く泣けなかった。

やはり山田洋次監督作品は自分にはシックリこない事が再確認されてしまったTOKYOタクシーだった。