らをた広島

食べ歩きブログ

トライアンフタイガー800XCx&800XRx試乗インプレ

タイガー80 - 1
大阪モーターサイクルショートライアンフタイガー800に好印象を持って帰ってきた自分にとってはもはやKTMのことは脳裏から消え去りこのタイガー800を実際に見てみたいという欲求に駆られるのは当然のことだった。
タイガー800 - 1
さっそくトライアンフ広島にでかけて実物を拝ませてもらうことにした。
しかしここは広くて数多くのトライアンフ車が所狭しと並べてあってもしかしたら大阪モーターサイクルショーに展示されていた台数より多いんちゃうか??
タイガー800 - 2
そんななかひときは異彩を放っていたのがこのロケット3ロードスターだ。

2294cc並列3気筒DOHCで148馬力はいいのだが221Nmという途方も無いトルクを2750rpmという低回転で爆発させるといういわゆるバケモノバイク。
タイガー800 - 3
おそらくは日本のVMAXあたりがライバルになるのだろうが248万円というプライスもモンスター級ではあるがその内容を考えれば妥当と言ったところか。
早々に話がそれてしまったが今回はタイガー800シリーズの試乗をさせてもらうことになった。
しかも オフロード版たる800XCxオンロード版の800XRxの両方に乗せてもらうというトライアンフ広島の太っ腹さにも感謝しきりだ。
タイガー - 1
そもそもタイガー800トライアンフお得意の3気筒エンジン搭載のアドベンチャー系バイクでヨーロッパのカテゴリーで言えばミディアムクラスに属し2010年にデビューし2015年にモデルチェンジをしオフロードのXC→XCxにオンロードのXR→XRxにアップグレードしたわけだが旧型と比較してスタイル面はシュラウド・タンクサイドパネル処理以外に大きな変化はなく見えるが中身は大きくブラッシュアップしているようだ。
新型タイガー800XCx&800XRxの違いは主に足回りでタイガー800XRxはモタードイメージのオンロード志向の仕立てになっていてSHOWA製サスペンションにフロント100/90・19、リア150/70R17のタイヤを履く。
実際に乗ってみるとけっこう硬くゴツゴツした乗り味で800ccにしては小ぶりな車体と相まってヒラヒラと軽快に乗れる。
タイガー800~ - 1
実は前のモデルのタイガー800XCに試乗したことはあったがゴリゴリとガサツでややもっさりした3気筒エンジンが気に入らなかったのだが今回のモデルは非常に低速からパワーが湧いて出てくるように力強くなっている。
大昔のカワサキのマルチエンジンに似た1気筒壊れた4気筒って趣が強かったかつての3気筒エンジンフィーリングもかなり洗練されてきたようでどちらかと言えば4気筒エンジンに近くなったように感じる。
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さて今度は本命の800XCxに乗り換えた。
デフォルトでは足つき性向上の為にXRxもXCxともにシートがローポジションにしてあるのだがこのシートそのものの座り心地も滑らない素材で作られているようだしクッション性もあって柔らかい。
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こちらはオフロード仕様ということでスタンディングの具合が試したいのでシートを本来のハイポジションに戻してもらった。
タイガー800はシートを外して簡単にシート高を変更できるようなシステムになっていてオンロードのXRxはローシート仕様で乗ったがこれだと普通の体格の男性や余程小柄な女性以外ならまず脚付きに不安はないだろう。
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だけどXCxはフロント90/90・21、リア150/70R17というオフロード向けのタイヤサイズになっておりこれにハイシートにしたらもうそりゃヤジロベエ・バレリーナ状態ではあるがまあオフロードバイクとはこういうもんだからおそらくはこのモデルのデフォルトであろうこのポジションでの試乗をすることにした。
タイガー8 - 1
XRxとXCxで最も違うのはやっぱりWPサスペンションがもたらす乗り心地だろう。
硬い感じのXRxに対して跨った時から感じることができる柔らかさは走りだすと更にその上質さが際立っている。
一部踏切を停止から1速全開で渡ってみたがまさにシルクのような乗り心地とはこういうのを指すのかもしれない。
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足の長いこの手のアドベンチャーバイクの美点であるロングストロークの足回りの恩恵をこんなに感じられるバイクも少なかろう。
オフロードでの足回りの感じはもちろんわからないがこれだったら相当期待できるんじゃないかな。
それとスタンディングの具合もいろいろ試してみたが軽い前傾姿勢になるように変更されたらしいハンドルの位置とステップ上部のフレーム形状にじゅうぶんな配慮がなされているようでかなりしっくりくるポジションだったのはこのモデルのコンセプトを良く表していると言える。
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ロード仕様のXRxに対して大径のフロントタイヤのせいなのかXCxのフロントブレーキはややスポンジーな感じが隠せないようだがこれはタイヤとその柔らかいサスペンションの影響があるのだろう。
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それとXCxはオフロードバイクらしくハンドリングがややダルでフロントタイヤが思ったよりも遠くを回っている感じがする。
平たく言えばXCxはXRxと比較してなかなか曲がらないような印象を受けるのでオフ車の基本通りリーンアウトをした方が乗りやすいのかもしれないがそれだけ本格的なオフロード仕様の足回りになっているという証拠だとも言えなくもない。
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エンジンは共通で同じように低速が強化されているが極低速ではエンジンが止まりそうな感じを受けるのは3気筒ならではのクセみたいなもんか?
ウイリーできんもんかやってみたがきっちりトラコンが介入してそんな無粋な真似はできないようになっているがこれを解除すれば2速くらいでも簡単にできるような気もする。
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ちょっと驚いたのはオートクルーズの標準装備でミディアムクラスでは珍しかろうがこれよりもグリップヒーターの方がオフロードバイクとしては実用的かもしれない。
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左手にはライディングモードやトラコンの切り替えのスイッチがついているが短時間で把握できそうにないのでこの日は最初から一番パワーのでるモードに設定してもらった。
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タイガー800XCxではあるがエンジンパワーは95馬力/9250rpmでトルクは7.9n・m/7850rpmとカタログ上は高回転型ではあるが実際はかなり中低速型になっているので装備車重が230kgと小ぶりな見た目よりは重いのだが跨った瞬間のスタンドからの引き起こし時にはそのシート高と相まって車重を感じる以外は走ってしまえばもっと軽い車体に乗ってる印象すら受ける。
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インプレ自体はなかなか良かったタイガー800シリーズだがもちろん欠点もある。
それはズバリ価格だ。
このトライアンフタイガー800XCx&800XRxのライバルはBMW F800GS Adventure&F800GSであることは明らかだ。
エンジンの2気筒、3気筒の差があれど車重や寸法、動力性能などほぼ互角だろう。
タイガー800XRx144万9000円→BMW F800GS139万9000円、タイガー800XCx164万円→BMW F800 Adventure158万9000円(全て税込み)となっており事実上アドベンチャージャンルのこのクラスで最も高価なバイクになってしまっているのだった。
ちなみに上のクラスのKTM1190アドベンチャーR(150馬力)が185万ってのがいかに安いかよく分かる。
あくまでも個人的な意見ではあるが円安のご時世とは言えこの価格なんならBMWには標準のグリップヒーターは最初から装備するべきだろうし、リアタイヤは選択肢の広い18インチにして欲しかったと思った次第である。
ただ国産車にこれを比較するだけの本格的なミドルオフロードバイクがないのも事実で250cc以下の4スト単気筒か後は一気にリッタークラスのビッグオフローダーしか実質選択肢はない。
ストイックにオフロードを走るなら KTM690エンデューロRがあるがもうええ歳だしレースに出るつもりもないのでこのカリカリホンキのピュアエンデューロレプリカは今更ややしんどいし、実際のツーリングは60km~100km高速道路を含む舗装路を走ってオフロードに行ってそれからまた同様にして帰るわけだから近所が未舗装路だらけって環境に住んでいるのでない限り積載性やオンロード性能を見限ってその手のバイクに乗るのもね~。
こうして考えると過去に2スト250なんかのハイパワーオフローダーに乗っていたある程度腕のある人には待望久しいリアルオフロードツーリングバイクだと断言できる。
ただなんだかんだとオプションをつけて諸経費込にすると現実的に200万円というカワサキ1400GTRと大して変わらぬ見積りを見ていろいろと考えてしまう自分がそこに居た(笑)