前向性健忘(発症以前の記憶はあるものの、それ以降は数分前の出来事さえ忘れてしまう症状)という記憶障害に見舞われた男が、最愛の妻を殺した犯人を追う異色サスペンス。
ロサンジェルスで保険の調査員をしていたレナード。
ある日、何者かが家に侵入し、妻がレイプされたうえ殺害されてしまう。
その光景を目撃してしまったレナードはショックで前向性健忘となってしまう。
彼は記憶を消さないためポラロイドにメモを書き、体にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かりを追っていく……。
評価が非常に高いので以前から観てみたいと思っていたのだがやっと実現したメメント。
昔のことは覚えているが最近のことはどんどん忘れていくという精神疾患にかかった男の話。
映画の冒頭にオチがあってここまでを逆説的に描いているようなのだが、何せ2分くらい前の記憶がどんどん無くなっていく主人公なもんだから、もしかしたら毎日ループのように同じ事を繰り返してるんじゃないか?と最初は思った。
ただでさえ難解な内容なのに何度も同じ場面が繰り返し出てきて理解しようと必死に食らい付くが今の場面と過去とが入り乱れてどれが「今」なのか頭の中は整理がつかない。
とにかくこの主人公の昔のことは覚えているがほんの数分前の記憶をどんどん失っていくといった設定がこの映画のミソみたいなもんで、これがなければ案外単純なストーリーになんかもしれん。
しかしこんな複雑怪奇な展開をよく考えたもんだ。
全体像がわかってしまえば納得できたが要は最初に結末があって時間を遡って展開していくのだが主人公が記憶をすぐ無くすって設定だから肝心の主人公が自分のことを他人から教えて貰うという事になる事が斬新と言えば斬新だが、わかりにくい事この上ない。
この映画の監督であるクリストファー・ノーラン作品は他にも「インセプション」や「インターステラー」を観たがどれも時間軸を狂わせる設定が多くこの手のギミックが好みであることが伺える。
確かに革新的で面白いと思ったがややヒネリ過ぎて評価が極端に別れる映画になってしまうだろう。