『まほろ駅前』シリーズや『舟を編む』などの助監督を務めてきた野尻克己がメガホンを取ったヒューマンドラマ。
長男の急死から立ち直ろうとする家族の姿を映し出す。
出演はドラマシリーズ「ドクターX」などの岸部一徳、『それでもボクはやってない』などの加瀬亮、『ハゲタカ』などの大森南朋をはじめ、原日出子、木竜麻生、岸本加世子、宇野祥平ら。
鈴木家の長男の浩一(加瀬亮)が急逝し、母の悠子(原日出子)はショックで倒れてしまう。
浩一の四十九日に父・幸男(岸部一徳)は、娘の富美(木竜麻生)、幸男の妹・君子(岸本加世子)、アルゼンチンで事業をしている悠子の弟・博(大森南朋)と悠子について話し合う。
そこに彼女が意識を取り戻したとの知らせが届き、彼らは病室に駆け付けた。
悠子から浩一の様子を聞かれ、富美がとっさに博の事業を手伝うためにアルゼンチンにいると嘘をつく。
ショッキングなオープニングから始まる不思議な映画。
テーマは重いので基本的に暗い展開をしていくが妙に現実味がありいかにも本当にありそうなストーリーにどうにもやりきれない気持ちが身につまされる。
ウソは悪いのはわかっていても家族を思いやってつい嘘ついてしまいそれがドンドン話し大きくなってどうしようもなくなってくる展開は先が読めずつい見入ってしまった。
主演は木竜麻生と言う若手女優でこの作品で初めて見たが演技力は相当なもので大森南朋や岸部一徳、原日出子あたりと対等以上に渡り合ってるのが凄い。
こんな役者の演技力にも支えられラストはどうなるのかとハラハラして観ていくようになってしまうって事はこんな地味な映画ながらなかなかよく出来ている証拠になるかもしれない。
自分も辛い事があると自死したら楽になれると思ったことも過去にあるが残された家族のあまりに過酷な現実を見ればそんな「自己中な逃げ」なんて決してやってはいけないとこの映画かわ教えてくれているようだ。
ラストはもうひとヒネリ欲しい気もするが観終わったあと清々しい気持ちになった家族愛に溢れた佳作だった。