64歳でフロリダ海峡を泳いで渡るという偉業を成し遂げたスイマー、ダイアナ・ナイアドの実話を映画化。
アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した「フリーソロ」をはじめ、「MERU メルー」「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」など困難に挑戦する人々のドキュメンタリーを多く手がけてきたエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チンの夫婦監督が、初めて劇映画でメガホンをとった。
マラソンスイマーを引退して約30年が経ったダイアナ・ナイアド。
60歳を迎えた彼女は、ずっと思い続けていたひとつの挑戦が頭から離れなかった。
それは「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡を横断するというものだった。
フロリダ海峡にはサメや毒クラゲの恐怖や、激しい湾流などもあってオーシャンスイムの最難関とされ、そこを泳ぎ切るには想像を絶する困難を乗り越えなければならない。
それでも世界初の称号をかけ、サメよけのケージも使わずに生身で泳ぎ切ることを決意したダイアナは、親友でありコーチでもあるボニーらとともに4年に及ぶ波乱に満ちた挑戦に乗り出す。
「キッズ・オールライト」「アメリカン・ビューティー」などでアカデミー賞に4度ノミネートされている名優アネット・ベニングがダイアナを演じ、ボニー役は「羊たちの沈黙」「告白のゆくえ」でアカデミー主演女優賞を2度受賞しているジョディ・フォスターが担当。
Netflixで2023年11月3日から配信。それに先立ち10月20日から一部劇場で公開。
ジョディーフォスターが出演しているらしいので観た。
実話を基にした冒険ストーリーだが60歳過ぎて30年ぶりにスイマー復帰してフロリダ海峡横断した女性の物語。
タイトルのナイアドはその女性の名前だ。
キューバからフロリダまでの海峡の距離は165kmと走るのでもかなりムリがあるもので常人ではまずチャレンジしようとも思わない。
それに安全なプールじゃないので海流や波、海洋生物や天候など想像を絶する無謀な挑戦だ。
久しぶりに見るジョディーフォスターは当然ながら年を取っていたが主人公をアシストする脇役に徹していてやはり存在感は抜群だ。
165km/泳ぐと言うことは60時間かかるそうで丸2日と半日泳ぐというトンデモ冒険になるが普通に考えれば若者でも命がけだ。
飯とか排泄とかどうするのかと思ったら船に上がることなく水中でやるなんて狂気の沙汰だ。
この壮大な計画を実現するために必要なメンバーとカネを集めて葛藤を乗り越えていく様が描かれるが、かなり痛々しい。
個人的に夜の海が怖いので夜に船に乗るのもイヤなのに泳ぐなんて到底考えられないが60歳過ぎて延々夜中も泳ぐだけでも人間業ではない。
こんなヤバくて無謀な冒険をなんでするのだろうと不思議に思ったが誰も成し遂げられない事をやり遂げる事がモチベーションになるのだろう。
様々な障害に見舞われて何度も何度も失敗するも決して心折れずに再び立ち上がる姿には呆れてしまうほどで、ジョディーフォスターが演じる理解者がいないと絶対に無理だった事が描かれる。
映画なのでラストはこの冒険に成功する訳だがそれにしてもその行程はあまりに過酷でウンザリしてしまうほどだ。
ナイアドは64歳で165kmも外洋を泳ぎ切ったので彼女より若い自分もまだまだ老け込むには早いと励まされる。
偉大な挑戦を描いているのはわかるが途中、間延びしたように感じられる部分もままあって、もう少し展開を早くしてくれたら、もっと作品に没入できるのにと、ちょっと残念な気がした。
2時間の上映時間だがこれなら1時間半でまとめた方がきっと見応えがあったはず。
ジョディーフォスターも61歳になったみたいだけどまだまだ現役で映画に出て欲しいと思ったナイアド その決意は海を越えるだった。