らをた広島

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家政婦のミタ


松嶋菜々子主演の超高視聴率モンスターテレビドラマ。
最終回は40パーセント以上の脅威の視聴率を叩き出して「承知しました」「業務命令ですか?」「あなたが決める事です」の流行語を生み出して社会現象にまで発展した。
このドラマのミソは遊川和彦の脚本であることは明らかだ。
この遊川和彦と言う脚本家は以前にヒットドラマGTOも書いているようだがなんと言っても「女王の教室」にトドメを差す。
この女王の教室はとにかく強烈だった。
自分の生徒を完全管理ししかも自立して成長させていくスーパー教師なんだがこれが余計な事は全く喋らず無表情でロボットみたいなキャラクターは今回の家政婦のミタのキャラと被ってるとも言えなくもない。
この方がその暖かい内面との対比がより際立たせることができるのだろう。
表面的には仲良くしているように見える一般家庭ではあるが様々な事情から実はバラバラな家族。
その問題を家政婦のミタが実に巧妙に解決していく。
内容的には「女王の教室」とよく似ているしこの手の子供絡みの家庭教育問題系のドラマをやらせたらこの遊川和彦は実に繊細で心に訴える脚本を書くもんだと感心する。
ドラマ全体を通しても或いは一話だけとしても前半にいろいろ散りばめて撒いた伏線が後半効果的に次々結実していく様は素晴らしいとしか言いようがない。
しかし女王の教室天海祐希も凄まじかっが今回の松嶋菜々子の怪演炸裂だ。
間違いなく代表作となるだろう。
子役たちの演技も素晴らしい。
相武紗季のベタ役ぶりも笑えるがついこの間まで端役でしかなかった長谷川博己がこの大ヒットドラマで最も恩恵を受けた役者かも知れない。
NHKセカンドバージンに抜擢されたツキはまだ残っていたようだ。
セカンドバージンの頃に比べて彼の演技力は格段に上達してるのは驚きだった(笑)
その長谷川博己演じる父親のダメオヤジぶりはさすがに目に余る(笑)
悪役みたいな平泉成の方が余程正論を話しているように思う。
今回のミタのターミネーターぶりはとにかく徹底している。
命令の優先順位から始まって家事は完璧、雇い主からの依頼は可能な限りたとえ法に触れようともリアルに実行する。
ドラマ前半はこの家族がミタさんに立ち直らせる話しから後半は逆にミタさんがこの家族により人間らしきを取り戻すストーリーへと変化していく。
とにかく冷徹な感じのミタさんだが毎回泣き・笑いの要素も上手く散りばめられておりきちんとホームドラマに成り立ってる。
そんな中で現代に希薄になりつつある家族の有りようについて真っ向からがっぷり四つに取り組んだこの作品の示唆にただただ驚くばかりだ。
くだらない番組が氾濫しているテレビでこんな骨太でしっかりしたドラマがダントツの高視聴率を取るなんてまだまだ捨てたもんじゃないと思った。