“仁義なき戦い”シリーズ第三作。やくざ組織の抗争事件の裏に渦巻く、欲望、背信、復讐の凄惨かつ陰惨な組織の実態を描く。
脚本は「仁義なき戦い 広島死闘篇」の笠原和夫、監督も同作の深作欣二、撮影も同作の吉田貞二がそれぞれ担当。
1973年製作/102分/日本
配給:東映
ヤクザ映画の金字塔、仁義なき戦いのシリーズ第二弾である広島死闘編が実話がベースの問題作とはいえ、菅原文太の出演が少なくて個人的に物足りなく感じた後の第三弾がこの代理戦争。
実は仁義なき戦いシリーズは第一作が1973年の公開、そして広島死闘編、この代理戦争も1973年の公開だから立て続けに制作されていてその頃自分は小学生だから当然劇場では観ていない。
こんなヤバい作品が地上波で放送されるハズもなく初めて観たのは大学の頃、友人の強い薦めで近所のレンタルビデオの仁義なき戦いシリーズ5作品全部借りて必死で観て衝撃を受けたのをよく覚えている。
それ以来35年ぶりくらいにこの作品を観た。
この作品の冒頭に第一作で死んだ筈の梅宮辰夫が眉毛を剃った違う役で出てきてあまりの迫力に爆笑してしまった。
もう50年も前の作品なので役者はほとんど亡くなっているが菅原文太を始めて渡瀬恒彦、山城新伍、金子信雄、成田三樹夫などのギラギラした表情には高度成長期の日本の元気さみたいな雰囲気がある。
比較的地味な展開にだった広島死闘編と打って変わって本作はほぼ菅原文太は出ずっぱりだし暴力シーンもふんだん盛り込まれどちらかといえば第一作の作風に戻ったように思う。
メガネをかけた小林旭も声が高いのでどうかと思ったがさすがのヤクザぶりで堂々としている。
度量が狭く器じゃないのが親分になって幹部が苦労し、大見栄切っても裏では裏切りの連続という構図は高倉健や鶴田浩二あたりのヤクザものとは完全に一線を画していて今でも斬新だ。
おそらくは山口組の組長を丹波哲郎が演じているが色々問題があったのかセリフはない。
久しぶりに観たが1時間40分の上映時間があっという間だ。
この作品の最大のハイライトは終盤の明石組との戦争するかしないかの話し合いでの知能戦なのだがここで小林旭と菅原文太の掛け合いはカッコよくて痺れる。
最後の最後まで裏切りに次ぐ裏切りで非常に印象深いラストだがこのシーンは強く記憶に残っている。
やり切れない幕切れではあるが仁義なき戦いシリーズの中でも屈指の傑作だと言うことを再確認させてくれた仁義なき戦い 代理戦争だった。