【解説・ストーリー】
戦後の混乱期、「大笑い、三十年の馬鹿騒ぎ」の辞世を残して自ら命を絶った実在のやくざ・石川力夫の波乱激動の人生!
【キャスト】
渡哲也、梅宮辰夫、多岐川裕美、安藤昇
【スタッフ】
原作:藤田五郎
脚本:鴨井達比古、松田寛夫、神波史男
監督:深作欣二
【公開日】1975年2月公開
戦後の混乱期に、ヤクザ社会の中でもルールを無視して強烈に生きたひとりの男の物語。
昭和21年、新宿。ここではテキ屋系の4大勢力が縄張りを分け合っていた。河田組にいた石川力夫は仲間を伴い、“山東会”の賭場を襲い金を奪って逃走した。
これをきっかけに石川たちと山東会の抗争が勃発。
石川らは山東会をあっさり壊滅させてしまうが……。
有名な、妻の遺骨をかじりながら歩くシーンはあまりにも衝撃的。
実在の人物をモデルに、渡哲也が狂気と暴力の男を鬼気迫る迫力で演じている。
東映+深作欣二と言えば仁義なき戦いシリーズだがその流れを汲む作品であることは明らかな作品。
主演は先日亡くなられた若き日の渡哲也。
渡哲也と言えば自分の世代は西部警察の大門団長のイメージがかなり強いがヤクザやってるのはあまり観たことがない。
出演してるのはやはり懐かしい顔が多く、梅宮辰夫、ハナ肇、山城新伍、室田日出男、成田三樹夫、田中邦衛とほとんど亡くなっておられるのは残念だし45年前の映画ということの時の流れも感じさせる。
戦後のドサクサとは言えやくざの組長が選挙に立候補するなど今じゃ絶対にあり得ない世相に驚かされる。
渡瀬恒彦も仁義なき戦いシリーズでこんなとんでもない跳ねっ返りな若いやくざを演じていたのを思い出した。
若い頃の多岐川裕美もヒロインとして出ていてこれがビックリするほどのキレイさでマジで目を奪われた。
映像はカラーとモノクロを場面により使い分ける巧みなもので退廃的で荒廃した当時の世界観をよく表現している。
よく渡哲也の演技を酷評するムキもあるがこの映画では凄まじい存在感で東映のクセのあるメンツを相手に堂々と渡り合っている。
実話をベースにしているらしくムチャクチャリアリティがあって物語にスッカリ惹き込まれてしまった。
まあ内容が内容だから地上波テレビで放送できる訳もないがコレからは制限のないネット動画で語り継がれる名作だと思う。
仁義の墓場って実に言い得て妙なタイトルだと感心してしまった。