上映時間:146分 / 製作:1976年(日本) / 配給:角川春樹事務所
日本映画に一石を投じた“角川映画”の記念すべき第1回作品。
製薬王・犬神佐兵衛が残した遺言状が公開され、その莫大な遺産を相続する権利が3人の孫に与えられる。
だがその条件は、佐兵衛の恩人の孫娘・珠世と結婚することだった。
珠世をめぐって3人の男たちの間で争奪戦が繰り広げられるが、ついに殺人事件にまで発展する。
依頼を受けた名探偵・金田一耕助は捜査に乗り出すが、さらに第2・第3の殺人が……。
横溝正史独特のおどろおどろしい世界を、美しい音楽とリリカルな映像処理でセンチメンタルな愛情物語に作り上げることに成功した。
監督:市川崑
キャスト
今でも開脚逆立ちすると「スケキヨ」と呼ばれるくらいにインパクトあるポーズのポスターが脳裏に焼き付いている名作、犬神家の一族。
BS松竹東急で金田一耕助シリーズとして連夜放送されていたので観た。
角川映画の1作目だったのは覚えているし、当時映画館ども観たしテレビでも何度も何度も観た。
オープニング曲など完全に覚えてしまったくらいだが今見るとあのルパン三世のテーマ曲で有名な大野雄二だったのは知らなかった。
主演は石坂浩二で坂口良子はまだこの頃駆け出しだったのか脇役で出演している。
ソレに何と、あの横溝正史が宿屋の主役で出演しているが凄まじい棒演技だけど貴重な映像だ。
1976年公開の作品なので当たり前ではあるが出演者の半分程度は亡くなっていてココらへんは時代の流れを感じる。
あの当時は横溝正史の小説も流行っていたのでこの犬神家の一族も原作を先に読んでからの映画だったが小説以上のリアリティに圧倒されたのを覚えている。
ストーリーとは直接関係ないが古館恭三弁護士である小沢栄太郎、橘警察署長の加藤武はあまりにもハマり役でリメイクされた犬神家の一族を何度見ても自分の中ではこの作品を上回る事は出来ない。
ソレに金田一耕助同様に主演級の野々宮珠世である島田陽子の美しさや所作の上品さは特筆すべきでコレも個人的に他者の追随を許さない。
まあそれほどこの作品の影響を受けてしまっていると言う事でそう言う意味ではやはり名画と言われる価値はあるのだろう。
初めて映画館で観たときは死ぬほど怖かったが時が経ってテレビで観たときはそれほど怖くなくなり今となってはコレの何処が怖いのか分からんようになっていた。
だとしても犬神家の一族のトレードマークとも言うべき佐清、実際には青沼静馬の湖から足だけ突き出している例のポーズは今見ても斬新だ。
コレも今回気がついたがヤケに台詞貰ってる端役の刑事はどっかで見たことあると思っていたらナントあの角川春樹じゃないの(笑)
犯人はまあ最初からわかり過ぎているがよく考えたら佐清にも罪はある訳でその後がどうなったのか知りたい気もする。
それまでの江戸川乱歩による明智小五郎に成り代わって横溝正史の金田一耕助を日本の推理映画のスタンダードにした市川崑監督の犬神家の一族は金字塔といえる。
自分にとっては洋画を含めてこのジャンルではこれ以上の作品はないと断言できる犬神家の一族だった。