アガサ・クリスティーのミステリーを原作に、『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』に続きケネス・ブラナーが監督・主演を務めて映画化した作品。
第2次世界大戦後のベネチアで、降霊会に参加した名探偵ポアロが超常現象の謎に挑む。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などのオスカー女優ミシェル・ヨーのほか、ティナ・フェイ、ジェイミー・ドーナンらがキャストに名を連ねる。
第2次世界大戦の後、ハロウィーンを迎えたベネチア。
一線を退き、ベネチアで過ごしていた私立探偵ポアロ(ケネス・ブラナー)は、謎の霊媒師(ミシェル・ヨー)が古ぼけた大邸宅で行う降霊会にしぶしぶながら参加する。
そこで招待客の一人が殺害されたことをきっかけに、ポアロは邪悪な世界へと足を踏み入れることになる。
アガサ・クリスティの推理モノはもはや定番と言うか定期的に映画化されているように感じる。
日本での横溝正史、金田一耕助のシリーズが定期的に映像化されるようなものなのだろう。
そう言う意味では新たに推理して楽しむと言うよりはもはや落語のように決まったオチを楽しむような芸術みたいなもんか。
ベネチアの亡霊ってくらいだからイタリアが舞台でしかも時代もかなり昔に設定されている。
このシリーズは貴族の世界を描いているのが多かったが今回もその路線は相変わらずだがこれまでになくスリラー色が強いのが異色だ。
怪奇色は強くともホラーまでは行かないので基本的にはソレをポワロが暴いていくという推理物だ。
1時間45分の上映時間なのでストーリーはサクサクと進みテンポ良いので作品に引っ張りこまれる。
ただ途中から登場人物の詳しい説明になり話しがあちこちに飛んでややとっ散らかった印象を受けてしまう。
推理物だけに内容は詳しくは書けないが代表作でもある『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』などと比較すると全体に小ぢんまりまとまってしまって、この作品ならではというヒネリがない。
勝手に期待してしまったのもあるがやや薄っぺらい人物設定は物語も薄くしてしまうことがよく分かった。
アガサ・クリスティのシリーズはこれからも映像化されるだろうが、やはり王道の作品の方が何かと見応えがあるように感じた名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊だった。