1968年3月20日公開、79分、ホラー
「大魔神逆襲」の吉田哲郎がシナリオを執筆し、「やくざ坊主」の安田公義が監督した怪談。撮影は「秘録おんな牢」の竹村康和。
悪徳商人の但馬屋利右衛門は、寺社奉行の豊前守と結託。下町にある甚兵衛所有の長屋を取り壊し、岡場所…すなわち売春宿を建てて、一儲けしようと企み、住人たちを無理やり立ち退かせようとして、死人まで出してしまう。
しかし甚兵衛も但馬屋に借金をこさえており、強く異を唱えられないでいた。
ある晩、但馬屋は豊前守をはじめ、悪事に加担する連中を招き、酒席で百物語を披露させる。
しかし、その際に…つきもの落としのまじないを唱えなかったことから、異変が起きる。
その後、借金の返済に訪れた甚兵衛を、但馬屋は手下に命じて殺してしまうが…。
監督:安田公義
出演:藤巻潤 高田美和 平泉征 坪内ミキ子 ルーキー新一 林家彦六 神田隆 伊達三郎 山本一郎
『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』と2本立て同時公開された大映妖怪シリーズ第1弾。
要はメインであるガメラの抱き合わせ作品でこれはこれで子供にはたいへん人気があったのを覚えている。
基本的に子供向け映画なのだがもう半世紀以上の55年も前の作品なので本来モノクロだったような気もするが後からカラーにしたのだろうか?
それにしても言われなければわからないくらいの自然な映像でこういう修正技術も凄いもんだと思わせてくれる。
登場する俳優さんはもちろんほとんど亡くなっておられるのだが昔テレビとかでよく観たような顔がでてきて懐かしくなった。
それと最初のクレジットで平泉征とあってこれが今の平泉成であることはわかったがかなり若い頃なのでどれなのかずっと探していたが血気盛んな若者だとようやくわかった(笑)
子供向け時代劇にしてはしっかりと予算がかけてあって決して映像が安っぽい事はない。
まだCGなんて微塵もない時代なので特撮はあの手この手を使って工夫を凝らして頑張っている事がよくわかる。
ホラーとは言え子供に受けるようにコミカルに描かれていて、やりすぎないように配慮されているのだろう。
娘が騙されて悪玉奉行に手篭めにされたであろうエロシーンも上手にカットしてあって徹頭徹尾、健全な勧善懲悪時代劇になっている。
要は妖怪は善人を助け悪人たちを懲らしめてくれる正義の味方として描かれているので子供は妖怪が好きになるという構図だ。
まあ妖怪と言っても被り物が多く、今から見ればショッカーの怪人と言えなくもない。
勿論、全然怖くはないが物語としてはなかなかに面白く、コレで人気が出て第二、第三弾とシリーズ化したのも納得できる。
当時、ガキだった自分もおそらく親に連れて行ってもらった映画館で夢中になってスクリーンにかじりついていたと思うが残念ながらは全く記憶にない(笑)
童心に帰って想像したよりずっと楽しめた妖怪百物語だった。