アニメ「宇宙よりも遠い場所」の監督いしづかあつこ、アニメーション制作のMADHOUSE、キャラクターデザインの吉松孝博が再び組んだ冒険アニメ。
3人の高校生が夏休みに山火事の犯人と誤解されてしまい、無実の証拠を探しに旅立つ。
東京から少し離れた田舎で生活しているロウマとトトは周りになじむことができず、二人でチーム「ドン・グリーズ」を結成する。
高校1年生の夏休み、ロウマとトト、新たにドン・グリーズに加わったドロップは、山火事の犯人に仕立て上げられてしまう。
3人は無実であることを証明するため、空に消えていったドローンを捜しに行く。
花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩という進撃の巨人やハイキューで主要キャラクターを演じている声優陣は凄いが客寄せパンダらしき田村淳と指原莉乃のクレジットがやや気になりながら観た。
最近のアニメ同様に驚くほど映像は美しく日本のアニメーションのレベルの高さを痛感する。
オープニングを少し観たところでこりゃあ日本版スタンド・バイ・ミーなんじゃないかと勝手に決めつけてしまった。
舞台は日本のど田舎、またその雰囲気の醸し方が絶妙で時代はまるで昭和のようだがスマホが出てくるから現代劇なのだろう。
基本的に三人の高校生の物語なので客寄せパンダは全く気にならずすっかりこの作品の世界観に浸ってしまった。
流行りのCGを駆使するのではなくどちらかと言えば昔風の手書きに見える作画に見入ってしまう。
植物の緑の表現が丁寧でどことなくジブリ作品に通じる部分もあるがあまりに対象的なクマの作画のショボさに心底ビビってしまった(笑)
予想通り青春冒険ロードムービーになっていくがさすがに自分のようなオッサンにはもはや感情移入しづらい(笑)
それでも突飛な展開にはならずちゃんとリアリティがあるので例え若者向けだとしてもオッサンも面白い。
ミュージカル的な表現も実写だと無理やりだし歯が浮いたように見えて冷めてしまって苦手なのだがアニメーションだとそうでもないとは何故だろう?
1時間半の上映時間なのでもっと駆け足みたいなのかと想像していたが全然違って非常に丹念に作り込まれていて完全にハマってしまって気がつけば没頭して観ていた。
ラストはアイスランドになるとは夢にも思わない展開だったがちゃんと伏線があってその回収だとわかって納得したしこの映像美に感激もした。
ストーリー的にな古典的でベタな内容ではあるがこれ程清々しさをストレートに感じさせてくれた作品もなかなかない。
アニメに限れば今年一番と断言できるグッバイ、ドン・グリーズ! だった。
正直ラストは泣けた。