東本昌平原作の人気コミック「SS」を映画化した怒とうのカーアクション。
『アンフェア the movie』の小林義則監督と『交渉人 真下正義』の脚本家十川誠志がタッグを組み、サエない中年男が夢に向かって再び走り始めるまでの葛藤(かっとう)を鋭くえぐり出す。
CGを一切使わずに撮影されたド迫力のカーバトルシーンとともに家族や友情のドラマも楽しめる。
倒産寸前の西山モータースで働くダイブツ(哀川翔)は、社長からボーナスの代わりに幻の車三菱スタリオン4WDをもらう。
かつてラリーのレーサーだった彼も、今では妻(酒井法子)と2人の子どもとともに地味な生活を送っていた。
だがある晩、スタリオンに乗った彼は、走り屋たちが速さを競う箱根のレインボーラインで最速記録を更新して……。
ちょっと前の作品ながらラリーを題材にしている珍しい作品。
原作はマンガで東本昌平先生って言ったらあの「キリン」の作者でもある。
当時はWRCに三菱やスバル、トヨタがワークス参戦していた頃でもあるのでランエボやインプなどどえらい羽を付けたクルマがバンバン出てくる。
主演の哀川翔は当然ながら若くて見た目が全然違うが劇中では昔走っていたオッサンドライバーという設定だ。
そんで乗るクルマは三菱スタリオン。
スタリオンって言ったらバブルの頃に出たリトラクタブルライト+縦置きFR高級車だったがコレに出てくるのがスタリオン4WDラリーというラリー用のホモロゲ車だ。
自分の知ってる通常のスタリオンとは顔も丸目4灯の似ても似つかぬシロモノで日本に数台しか実在しないと言われる今は亡きグループB伝説のクルマでもある。
このスタリオン4WDラリーこそがこの映画の本当の主役とも言える存在でなにせ総生産台数5台!そのうち現存数3台、日本に2台しかないという超ウルトラ希少車だ。
このクルマは競技であまり使われることなかったがこのクルマでのノウハウや技術は後のWRCを席巻したランサーエボリューションに活かされているのは間違いないだろう。
哀川翔の奥様役で酒井法子が出ていてこの頃は例の事件の前なのかハッキリわからないがなんだか久しぶりに観たような気がした。
如何でもいいが劇中でMEGUMIが「ケツの穴から手突っ込んで奥歯ガタガタ言わすぞ」というセリフがあるがホントは確か「耳から手つっこんで奥歯ガタガタいわしたる」じゃなかったろうか?(笑)
ガラケーが登場しパソコンでだけ閲覧するネット黎明期という時代背景を踏まえて見るとなかなか興味深い。
この手の作品によくあるようなある大メーカーがバックアップしてまるでそのメーカーの宣伝のようにはなっておらずこの辺りは好感が持てる。
ただ低予算映画なのかCGがまだ使えないからかわからないがカメラワークを含め肝心のクルマの走行シーンに迫力がなくコレが一気に作品の質を下げてしまっている。
お陰でクライマックスで眠たくなってしまった(滝汗)
ストーリー的にはどんな桁外れなクルマで超絶テクニックがあってもとどのつまりはアングラな街道レーサーで何処か湾岸ミッドナイトに似た退廃的なクルマバカが描かれる。
貴重な左ハンドルスタリオン4WDラリーが拝めるのは有り難いが期待が大きすぎたせいもあるが個人的にはイマイチ消化不良だったSS エスエスだった。