内向的で人付き合いが苦手な大羽紘一(野村周平)は、幼いころからゲームにだけは驚異的な才能を示し、レースゲームの大会で日本一となる。
ある日、解散の危機に陥ったドリフトチーム「チームアライブ」のメカニックだという武藤夏美(吉川愛)にスカウトされ、テストを受けると初めての実車でも才能を発揮。
夏美の父で元レーサーの亮介(陣内孝則)に反対されるも、実力を認められチームに正式加入し、テクニックを磨いていく。
日本発祥のモータースポーツ「ドリフトレース」の世界を描いたカーアクション。
レースゲームで日本一となったゲーマーが、リアルドリフトの頂点を目指す。
『SHINOBI』などの下山天が監督、ドリフトキングと称される元レーシングドライバーの土屋圭市が監修を務め、CGを使わずカースタントによる迫力の走行シーンを実現。
主人公を『森山中教習所』などの野村周平が演じ、『ハニーレモンソーダ』などの吉川愛、『たたら侍』などの青柳翔のほか、福山翔大、本田博太郎、陣内孝則らが出演する。
クルマのドリフトがテーマと言う珍しい映画。
何の予備知識もなくあまり期待しないで観始めた。
ドリフトと言う日本生まれの競技はよく知らないのだがタイムを競うのではなく採点競技のようだ。
ゲームしかやっていないのが直ぐにドリフト出来るなんてホントにあるのかわからないが、最近のF1でもレーシングシミュレーターで相当リアルにレースが再現されると聞いたことあるので、どうなんだろう。
ドリフトと言う競技をもっと一般的に広めようと言うのがこの作品のメインテーマなのかも知れない。
だいたいにモータースポーツの映画って荒唐無稽なのが多くてウンザリさせられる事がよくあったので期待は全くしていない。
だけど冒頭からのカーアクションシーンは確かにCGで安易に誤魔化してはおらずきっちり実写で撮影しているせいでその迫力はハンパなく、この作品への製作者の意気込みが感じられる。
劇中ではトヨタチェイサーが練習用で日産S15シルビアがレース用のようで今でももう20年も前のシルビアがドリフトではまだまだ人気のようだ。
個人的にはドリフトという競技の面白さがよくわからないのだが、そういうヒト向けの啓蒙映画と言うことなのだろう。
レースシーンもCGはほとんど使われず実写でグイグイ押して来るのでつい見入ってしまったが、決して荒唐無稽にはならないのでリアリティがある。
ストーリーは題材が珍しいドリフトだと言う以外はさして斬新なものはなくどちらかと言えばベタな展開で、比較的カンタンだ。
レースシーンにFR化された1000場力のGRヤリスが出てくるが、派手なドリフトをするGRヤリスは見応えじゅうぶんだ。
強いて言うなら悪役がちょっと弱い気がしないでもないが、映画としてはよく出来ていて最後まで固唾をのんでドリフトの真剣に世界に入ってしまった。
特にドローンを使ったクルマを追いかけるような映像やカメラにぶつかっていくシーン(実際にGoPro轢いてるらしい)はこれまであまり目にした事がないのでかなりのインパクトを感じさせる。
作品全体からドリフト競技への愛が感じられ、今まで全く知らなかったドリフトと言う競技をちょっと見てみたくなってしまうので、この作品の目的は達成されているのだろう。
期待していなかったのもあるが、それを差し引いても掘り出し物みたいな映画と出会えた喜びはかなり大きい。
日本映画もまだまだ捨てたもんじゃないなと思わせてくれたALIVEHOON アライブフーンだった。