『ハイジャック』(Hijack)はハイジャック事件を描く、イギリスのスリラーテレビドラマ・ミニシリーズである。
2023年6月28日にApple TV+で配信開始された。
企業間の交渉のスペシャリストであるサムの乗ったドバイ発ロンドン行きの飛行機がハイジャックされる。
サムは犯人たちと交渉し、無用な流血を避けようとする。
ドバイで犯人たちを幇助した人々は殺され、やがて大きな犯罪組織が収監中の大物の釈放を要求する。
ハイジャック犯たちも家族への脅威の下で渋々命令に従い、イギリス政府が要求に従わない場合は乗客を一人ずつ殺そうとする。
イギリス政府は凶悪犯を釈放する。乗客たちがハイジャック犯を制圧するも、乗客の中に隠れていたアマンダが機長を殺した後に操縦室に閉じこもり、飛行機の針路をロンドン中心部に向ける。
犯罪組織は航空会社の株の空売りで利益を出す。燃料が底をつき、政府が撃墜の準備をする中、サムは家族を人質に取られたアマンダを説得し、政府から免責を取り付けて飛行機を無事に緊急着陸させ、乗客の命を救う。
タイトルからして内容が何となくわかってしまうようなドラマで1話46分程度で全7話のミニドラマ。
イギリスのドラマってあるようであまり観たことがないような気がするが、アメリカのドラマと区別がつかないからかも知れない(笑)
実際、ハイジャックのドラマと言っても飛行機の中のシーンだけでドラマを網羅する事なんてできる訳もないのでそこら辺を如何するのか興味がある。
以前はアメリカが人種のるつぼと言われたものだがこのドラマを観る限りイギリスも大概あらゆる人種が入り混じっていて今やアメリカと大差ない。
ハイジャックをテーマにした映画は山ほどあるし目新しくも何でもなく、どちらかと言えば使い古された印象で最近ではあまり見ない。
そう言う意味ではこの手の古典的なハイジャックモノって言うのは久しぶりだしある意味新鮮ではある。
やっぱりと言うか予想通りに機内だけではなく僅かなサインに地上でハイジャックに気づく人々が出て来てこれらの連携が見ものになってくる。
主人公は仕事がネゴシエーションでコレを利用して犯人グループとアレコレ交渉するという展開なのだが、物語に緊張感を持続させる演出がなかなか巧くて観ていて飽きない。
ハイジャックされた乗客同士の心理的な駆け引きはかなりの緊迫感があってコレでドラマを繋いでいくのだがこの演出が実に巧妙だ。
ただハイジャックの目的がなかなかわからないので中盤にかけてイライラしてしまうのだがこれも計算済みなのだろう。
激しい銃撃戦があるわけでもないし、派手なカーアクションがある訳でもなくこの心理戦が主な内容なら日本のドラマでも作れてしまいそうだ。
ただこの張り詰めた緊張感を7話ずっと持続するのは並大抵ではない演出力が必要だ。
このドラマは時刻を表示はしていないが基本的にリアルタイムで進行するので、スタイルとしてはあのトゥエンティフォーとよく似ている。
そう言えば主人公が勇猛果敢で無鉄砲な所も類似点があるので多少なりとも影響は受けているのだろう。
終盤になってハイジャックを含む事件の全貌がわかってくるのだがよく計算された展開は非常に緊迫感があって面白い。
最終話で思わぬ展開になりそれこそどう「着陸」するのか釘付けになってしまう。
激しく展開する物語に付いて行くのに必死になりあまりほ集中に画面に吸い込まれてしまった。
ただラストに至るまで心理戦の様相は変わらずとにかく緊張感が高く保たれている演出は見事としか言いようがない。
コレだと膨大な費用がかかるドラマでもないし日本でもリメイクできる内容なのでやりようによっては更に緊迫感がを持たせてもっと面白くする事も可能だ。
キャストや設定にややツメが甘い部分も散見されるが全話に渡って楽しめたハイジャックだった。