
2016年2月に開店した塩そば まえだ。
「まえだ」という響きは広島県人、特に広島カープファンには馴染みのあり過ぎて耳触りが良く覚えやすい屋号ということになるだろう。


おそらくはここらへんは三原の住宅地になるんだと思うのだが非常にシャレた外観はラーメン屋だとはとても思えない。


店の前に3台と店の前の道路を挟んで反対側にもう4台の駐車場が確保してありこの店がどっちかというと郊外店であることを意味しているのだろう。


新たにテナントをやり直したのか居抜きなのか知る由もないがどことなくこの完全和風な出で立ちは寿司屋の薫りがどことなく漂ってくる。


店内に入るとその予想はもはや自分の中では確信に変わり、絶対寿司屋の居抜きだ!と勝手に決めつけてしまった。
ただ入店後待っているのは大将の「いらっしゃい!」の掛け声ではなく自動券売機だ。


ラーメンは「あっさり塩そば」と「にごり塩そぼ」の2本立てておそらくあっさり系とこってり系と予想される。
サイドメニューはむすびにたまごかけごはん、チャーシュー丼と言ったところでかなり絞ってシンプルなメニューと言えるだろう。

さてあまり待たされないでキタヨ!塩そば まえだのあっさり塩そば650円。
なるほどこれは伊達や酔狂で「塩そば」を謳っているのではなく、最近都会で増殖しているいわゆる「淡麗系」のラーメンということになるだろう。

スープは黄金色でくっきりと澄み渡っており仄かに魚介を感じさせるがあくまでも主役は鶏になっておりここらへんがこのラーメンの個性であることは間違いない。

やや残念なのは麺でそうめんのように細いせいもあって個性に乏しくスープと比較するとちょっと押され気味になっている。
歯ごたえもそれほどないのでこの麺に対しての印象がほとんど残らないってのが正直な感想だ。


今流行の低温調理されたチャーシューや塩抜き完璧のコリコリメンマも抜かりはなく全体の素材のレベルが相当高いスープとの力関係も緻密に計算されているのがよくわかる。


柚子がスープの隠し味として使われたりしているようなところはさすがに仕事が細かい。
ご夫婦で切り盛りされているのかまだ若い大将のようだがアップトゥデートな淡麗系ラーメンは店舗の雰囲気を含めて女性をかなり意識しているのは明らかで、醤油スープ全盛のココ三原でどのような進化を遂げていくのか興味は尽きない。
郊外店なら昼だけ営業&日曜日定休ってのはラヲタにとってはかなりハードルが高いとも言えるがそれを押してでも訪れる価値はあると太鼓判を押したい。