らをた広島

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大河ドラマ龍馬伝完全版



DVDで一気に観た。
2010年に大ヒットしたドラマ。ホームドラマ風で当たった2009年の篤姫から一転、男性がターゲットなのか本格的で骨太な作り込みが目立つ。
吉田東洋役の田中泯山内容堂役の近藤正臣岩崎弥太郎役の香川照之などのアクの強い実力派がズラリと揃い主役の福山雅治を喰ってしまっている。
さすがに予算が違うのかその辺のドラマとは明らかにドラマのデキそのものが違う。
音楽はヘヴィーで多種多様なサントラだし映像は全体にフィルムのようでおそらく米ドラマトゥエンティーフォーの影響かハンディカメラを使いわざと手ぶれさせたような画面と目まぐるしいカット割りなどほとんど映画品質だ。
役者もかなり多くがカツラではなく地毛を伸ばして髷を結んでいる気合いの入れようだ。
演出に関してはいろいろ意見あるようだが全体に当時の汚さ、空気の埃っぽさを意識させているのはこれまでの時代劇にないリアリティの解釈なんじゃないかと感心させられる。
脚本も入念に幕末の時代考証してあり長丁場ながら毎回見せ場があり中だるみなくどんどん引き込まれる展開は素晴らしいと言うしかない。
やや右寄りの思想をしばしば感じさせるがそれはそれでこの世界観にはよく似合っていると思う。
歴史を試験勉強でしかやっていないから通り一辺倒の予備知識しかなく見れたが私利私欲でなく日本の行く末を真剣に考えて行動した人々がたくさんいたことに感動すら覚えた。
坂本龍馬ってヒトの最大の功績は犬猿な仲だったが富を持ち最新兵器による巨大戦力を保持していた薩摩と長州を結びつけ徳川幕府を終わらせ新しい時代へと導いたことだ。
坂本龍馬は他の歴史上の偉人とちょっと違って自分自身が国を作ったとか大発明・大発見をしたわけじゃなくそもそも歴史に埋もれていた人物で後の世に発掘されたと聞く。
それなのになぜ現代にはこんなに数多くの龍馬信者を生み出し続けるのか。
なぜ類をみない巨大な銅像として高知のシンボルとして桂浜に立つほどの人気を保ち続けるのか。
薩摩と長州のどちらの重鎮に顔が利いたから、或いは薩摩長州のそれぞれの都合とかあって結果的に同盟させたのはまあ事実だろうがおそらく坂本龍馬が外国が日本に開国を迫ってきた裏事情を知りこの国の将来を読んだ自分を信じてひたすら突き進むそのひたむきさに心奪われるのだろう。
今のこの世に坂本龍馬がもしも生きていたら幕末同様この手詰まり感の充満した日本をどう読むのか聞いてみたいものだ。