らをた広島

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悪人


DVDでみた。
去年の映画賞を総なめにしたひたすら重く暗い日本映画。
前半は展開早く全く先の読めないストーリー。
もちろん妻夫木聡深津絵里を中心に物語は回るのだが殺人事件と内向的で社会に上手く溶け込めない孤独な男女の陳腐な出会い・・・。
どうでも良いことだが主人公が長崎33ナンバーの白いBCNR33に乗りまわしているのはそのマイノリティさを際だたせる為なのかも知れない(笑)
中盤からそんな二人のあてのない逃亡劇になってゆきやや緩慢な展開になる。
そんな中で二人の過去を絡めながら徐々に人間性を取り戻していく主人公。
主役の二人もだがバイプレーヤーの江本明・樹木希林の鬼気迫る演技には真摯に圧倒される。
複雑な人間関係の現代で自分に垣根を作り嫌悪感を与えない丁度良い距離感が掴めない人々は本当に「たいせつなヒト」の意味がわからないのかも知れない。
本来人間関係はトライ&エラーの連続だ。
ひとりでは孤独なくせに傷つき傷つけられ更に孤独感を味わわないと自分にとってたいせつなヒトなんて手に入らないよ、ってなことをこの映画は言いたいのかな。
タイトルの悪人だが最後まで見ると誰が本当の悪人かわからなくなる。
それがコンセプトと言うか監督の狙いなのだろう。
ただ欲を言えばこのヘヴィーな雰囲気な映画のなかで箸休めと言うか息抜きみたいなシーンか若しくはフィナーレにもうひとヒネリの展開があればと思う。
あと小説が原作のようだがこの2人の主役の生い立ちや過去や今の生活環境の描き方が尺の関係からか浅すぎてもうひとつ感情移入できない。
作品全体としていかにも賞狙いの暗さ、難解さが鼻についたかな。