ある日、パラグライダーに乗っていた韓国財閥令嬢が、突然竜巻に巻き込まれ非武装地帯(DMZ)を越境して北朝鮮に不時着してしまい、北朝鮮の軍人に救助され真実の愛に不時着するラブストーリー。
韓国ではtvN歴代最高視聴率を記録し(2020年現在)、日本でも2020年、Netflixで最も多く視聴された作品としてブームとなった。
ある日、韓国の財閥令嬢で実業家でもあるユン・セリ(演:ソン・イェジン)は、パラグライダーで飛行していたが、突然の竜巻に巻き込まれてしまう。
その後、森の木に衝突し、辿り着いた先は軍事境界線を越えた北朝鮮(韓国での呼称:北韓、プッカン)の非武装地帯だった。そこで朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョク(演:ヒョンビン)と出会い、ジョンヒョクはセリを自宅に匿い韓国(北朝鮮での呼称:南朝鮮、ナムチョソン)に帰国させる計画を企てるが次々と失敗、時間が経つにつれて、敵対国家の国民同士にも関わらず、互いに恋愛感情を抱くようになる。しかしジョンヒョクには、デパート社長令嬢のソ・ダン(演:ソ・ジヘ)という婚約者がいた。
また、韓国の若き実業家ク・スンジュン(演:キム・ジョンヒョン)は、韓国でセリの次兄への詐欺の罪で追われており、時効成立までイギリス人外交官アルベルト・クと身分を偽って、ブローカーを通じて北朝鮮に潜伏していた。
スンジュンはセリのかつての見合い相手であった。
あるキッカケでついつい見始めてしまったネットフリックスドラマ。
1話90分近いし16話もあるからどうしようか迷ったが遂に手染めてしまった。
そしたら見事にハマったという次第である。
冬ソナなど過去の韓国ドラマと言えば50話近くあったもんだが16話みたいにコンパクトになったのはネット配信の時代になったのと無関係ではないだろう。
最初はどうせその冬ソナみたいなミーハーオバハン向けの昼ドラの延長みたいな惚れた腫れたドロドロ系を想像していたが全然違った。
兎にも角にもこのドラマのミソは舞台が北朝鮮である事に尽きる。
北朝鮮で知っている事と言えば意図的に公開された平壌くらいで一般市民の暮らしぶりなど知る由もない。
まして軍の内部とか病院、アンダーグラウンド層や富裕層などほとんどわからないのはおそらく韓国も同じだろうから都合の良いようにいくらでも演出できる。
まあ北朝鮮のセットは韓国時代劇ドラマのセットをそのまま使っているようではあるが(笑)
ただこのドラマは基本的にコメディで笑える部分がかなりあって特に「韓国ではよく記憶喪失が起こる」は爆笑してしまった。
女性が好きな恋愛要素も満載でこの手では泣けないのだが面白くてやめられられなかった。
何より圧巻なのは30代半ばの脂の乗った主演役者の演技力でコレにはケツの青いジャニタレあたりでお茶を濁してる日本のドラマは爪の垢を煎じて飲めと言いたい。
北朝鮮国内の描き方にはそれなりにツッコミ所満載なのだがそれでも確認のしようもないので仕方がない。
ストーリー的にはいわゆるロミオとジュリエットなのだがこれが北朝鮮と韓国だからそれなりの説得力を持たせていると思う。
物語の舞台を前半は北朝鮮、中盤からは韓国、そして再び北朝鮮とここらへんはなんとなく予想できたがその織りなすストーリーの繋ぎ方が見事だ。
惚れ腫れパートでは相変わらず綺麗事過ぎてほとんど泣けないのでそこらへんのシーンは半笑いで見ていたが北朝鮮の隊員との再開は泣けてしまった。
スポンサーなのか出てくるクルマがジャガー・ランドローバーなのはまあ仕方ないかもしれないが北朝鮮にもジャガーやレンジローバーがそんなに走っているのかは甚だギモンだった。
悪役の上官は顔も怖くとにかく徹底して卑劣で存在感が凄くあって全編に渡ってこのドラマを単なる恋愛コメディに終わらせていないのは立派だ。
後半にはチェ・ジウが本人役でゲスト出演しているが冬のソナタから18年も経ち45歳になっているはずなのに全然変わっていないのは凄い!
全編に渡って現在の韓国の北への融和政策に則って作られたのは間違いないだろうがその部分を差し引いてもドラマ的に良くできているのは疑いようがなくヒットするのも当然だ。
パラサイト半地下の家族がアカデミー賞を獲って日が浅いがどうやらエンタメ作品の質では日本は韓国に遅れを取ってしまったと認めざるを得ないのが残念で仕方ないというのが愛の不時着を観終わった正直な感想だ。