宮崎駿が初めて劇場用作品の監督を手がけた「ルパン三世」第2弾。
ヨーロッパの小国カリオストロ公国。
ニセ札の噂が絶えないこの国へやって来たルパンは、悪漢に追われるひとりの少女クラリスを助けるが、彼女は再び連れ去られてしまう。
実はカリオストロ公国・大公家のひとり娘であったクラリスは、強引に結婚を迫るカリオストロ伯爵によって城に幽閉されていたのだ。
ルパンは既に城内に忍び込んでいた不二子の手引きで城に潜入するのだが…。
記念すべきルパン三世の最初の映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』を映画館で観たのでその勢いでこの二作目のカリオストロの城も劇場で観たのを覚えている。
地上波でやっていたので久しぶりに観るかとばかりに録画した。
ルパン三世と言えば最初は日曜日の夜に大人向けアニメとして製作されたが、ズッコケてその後宮崎駿のAプロダクションが子供向けに仕立て直して成功させたシリーズで実際、ルパン三世を名作にしたのは宮崎駿製作のこの映画の評価によるところが大きい。
冒頭からFIAT500(アバルトかも知れないが)とシトロエン2CVというマニアック小型イタフラ車が出てくる所からも作品に対する拘りが感じられる。
得にチンクエチェントの方はかなりチューニングがしてあるような描き方でこの手のクルマが好きなヒトにはたまらんだろう。
こうして久しぶりに観ると世界観とか宮崎駿ワールド全開で他の作品の影響があちらこちらに垣間見える。
特にアルプスの少女ハイジを観た世代にはキャラといい背景といい色々とニヤリとさせられる(笑)
声優陣は当然ながら自分が子供の頃テレビにかじりついて観ていた頃のルパン三世の声でやはりなんだかんだ言ってもコチラのほうがシックリくるのは仕方なかろう。
ただ子供向けでもあるこの作品の中で主人公のルパン三世も次元、そして銭形警部すらのべつまくなしにタバコ吸いまくりなのはさすがに時代の流れを感じる。
アニメ史に残る名作だけあってストーリー構成、演出ともにルパン三世という特異なキャラクターを完全に活かして作られていると痛感する。
宮崎駿作品はいたいけな少女が主人公の事が多いがこの作品でもルパン三世を借りているが実質クラリスが主役なのだろう。
1979年公開だからもう44年も前の映画だから声優さんももうほとんどが亡くなっておられるか引退されているがそれでも観ていて古さは全く無く感じられない。
勿論、現代のアニメのようにCGはなくほとんどが手書きで細かい部分まで表現される映像は逆に新鮮で、趣があって良い雰囲気だ。
特にクライマックスでの時計塔内部の歯車上を渡りながらの戦いはよく計算されていて、オリジナリティもあって素晴らしい。
ラストはどうなったのか久しぶりなので全く覚えてなかったがちょっとあっけなく感じた。
それでもこのカリオストロの城が名作だと言われるのは納得出来るしこの先もその評価は変わらないだろう。