豪雨によりモーテルにとり残されてしまった10人の男女と、死刑を明日にむかえた連続殺人犯のストーリーが予想不可能の結末へと導かれていくサイコ・ミステリー。
監督は『17歳のカルテ』のジェームズ・マンゴールド。
主演に『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザックと『ハンニバル』のレイ・リオッタら実力派が追い詰められていく心理状況の人間を熱演する。
閉ざされた空間で次々と引き起こされる緊張感に満ちたミステリーに目が離せない!
6人を殺害した連続殺人犯マルコム(プルイット・テイラー・ヴィンス)の死刑執行直前に彼の書いた日記が見つかり再審理が行われることが決まった。
一方、郊外のモーテルでは、妻を車にはねられたジョージ(ジョン・マギンリー)が救急車を呼ぶよう申し出るが店主のラリーは豪雨で電話が不通だと言う。
SNSで面白いという評価だったので観ることにした。
冒頭からあれよあれよと物語は進んで行ってどんどんこの映画の世界観に引きずり込まれる。
雷雨の夜に偶然足止めを食らってモーテルに泊まる事になってしまったワケアリなメンツ。
この設定だけでもワクワクしてしまうがとにかく息付く間もなくトントンとデンボ良く物語が展開する。
前知識が全くなかったのでどういうジャンルの作品かわからなかったが、どうやら殺人事件が絡むスリラーのようだ。
豪雨で洪水が起こり身動きできない状況でモーテルに集まってしまった上での殺人事件だと閉じた空間のいわゆる密室殺人事件である意味王道とも言える。
全てが連行途中の連続殺人犯のせいに思える展開だがそんな単純なワケもなく全く先が読めない。
タイトルのアイデンティティもどうしてなのかもさっぱり理解できないまま中盤から終盤に入って行くのだがそもそも1時間半の短い上映時間でこの広げるだけ広げた風呂敷をどう着地させるのだろう?と他人事ながら不安になってきた。
とにかくコレだけ映画に没入する事はコレまで無かったしここ迄全く読めない作品も珍しい。
まるで子供の頃テレビで観て夢中になったアメリカのモノクロドラマ、トワイライトゾーンの世界だ。
ネタバレになるので内容は書けないがこんなどんでん返しがあって良いのか?と唖然としてしまった。
ムダなシーンは極力削ぎ落として必要な場面だけを繋ぎ合わせたような凄まじい展開にすっかり心を奪われてしまった。
ラストになってやっとタイトルのアイデンティティの意味が理解できた次第である。
こんな凄い作品もあるのかとハリウッドの奥深さを思い知ったアイデンティティーだった。