1976年の作品。
「ギタリストには2種類いてジェフベックとそれ以外だ」と言われる天才ギタリストジェフベックのアルバム。
ワイアードとは「ワイヤーで固定する」って直訳から派生して「興奮した」とか「麻薬に酔う」とかと言う意味らしい。
しかしこれはこのアルバムと言うよりオープニングナンバーのレッドブーツこそがこのアルバムの代名詞って言うかジェフベックの代表曲だろう。
そのくらいこのアルバムに収録されているレッドブーツは凄い。
この曲独特のグルーヴ感を支配しているのはドラムスのナラダ・マイケル・ウォールデンの8分の7拍子という変則的なリズムだ。
要するに通常の4拍子にワルツみたいな3拍子がくっついて7拍子で展開していくのでリズムに合わせて手拍子していてもすぐにあわなくなってくる。
そんな緊張感溢れるリズムセクションにヤンハマーのシンセサイザーとジェフベックのギターが凄まじくトリッキーなテクニックの応酬で目まぐるしく交錯する。
YouTubeなどでライブ映像も見ることできるがメンバーやらいろいろな事情からかこのアルバム・ワイアードに収められているレッドブーツより以上の疾走感は感じられない。
そのくらいこのアルバムバージョンのレッドブーツは素晴らしい。
自分も過去にコピーしようとチャレンジしたがリズムが難しくて難儀したのを覚えている。
この8分の7拍子の曲はこういうジャズフュージョンの世界では比較的ちょくちょく用いられ名曲と言われるのが多々ある。
このアルバムは今から35年前の作品だがある意味エレキギターと言う楽器の限界点とシンセサイザーの無限の可能性を知らしめたと言えなくもない。
何度となくよくよくこのレッドブーツを聴き込むとテクニック的には互角ながらあのジェフベックの旋律より若干ではあるがヤンハマーのピッチベンドシンセの方がエモーショナルでスリリングなのがわかる。
そういう意味でこのアルバムはギターの衰退とシンセサイザー全盛の現代音楽を予感させるモノだったのかもしれない。