今回、リメイクに挑むのは映画『そして父になる』(2013)や『万引き家族』(2018)などでメガホンを取り、『怪物』(2018)では「第76回カンヌ国際映画祭」クィア・パルム賞を受賞する快挙を達成した是枝裕和監督。向田邦子をリスペクトし、自身も現代を生きる“家族”の姿を描いてきた是枝監督の脚色によって、昭和が舞台でありながら、今にも通じるメッセージのあるホームドラマとして蘇っています。
物語は東京に住む四姉妹の父・恒太郎(國村隼)に愛人がいると発覚するところから始まります。定年退職を迎え、母のふじ(松坂慶子)と穏やかに暮らしていると思っていたら、小学生の息子がいる女性のもとに足繁く通っていたのです。
その一方で、「みんな、ひとつやふたつ、うしろめたいとこ、持ってるんじゃないの」という綱子(宮沢りえ)の台詞が物語るように、4人には家族にも言えない秘密や悩みを抱えていました。
妻子ある男性と不倫関係にある綱子、夫の浮気を疑っている巻子(尾野真千子)、恋愛にいまいち踏み込めない滝子(蒼井優)、姉たちへの劣等感を抱えている咲子(広瀬すず)。そんな彼女たちの姿を通して、人間という生き物の業をまざまざと見せつけられているような、毒っ気のあるストーリーが癖になります。
全7話のネットフリックスドラマ。
何度もリメイクされているらしいがこれ迄一度も観たことがない。
タイトルからしてヤクザものかと勝手に思っていたから避けてきたってのもある。
実際はヤクザものではなか基本的にホームドラマのようだが舞台が昭和54年と言うのがミソでコレを忠実に徹底して再現しているのがネットフリックスが故の見どころだろう。
建物や室内の電化製品などは自分でも懐かしいような、昭和の雰囲気が満ちているものがバンバン登場するので、まるで昔のドラマを観ているかのような錯覚すらある。
宮沢りえ→尾野真千子→蒼井優→広瀬すずと言う全く似てない四姉妹を始めとするキャストも完全昭和ファッションでとにかく今回も徹底的に再現していて感心を通り越して呆れるくらいのコダワリだ。
確かにかつてはこの手の「ホームドラマ」というジャンルが確立されていて毎晩のようにゴールデンタイムに放送されていたが最近じゃメッキリ見なくなった。
そういう意味でも懐かしいだけじゃなく、今の時代には新鮮に映る。
ホームドラマだからネットフリックスドラマに有りがちな派手な暴力やエログロが全く無いのもある意味斬新だ。
ついでに言うなら特殊効果のVFXやCGも全くなくノスタルジックな昭和のホームドラマの雰囲気を作り出しているのは凄い。
ディテールにも昭和の小物をガッチリ配置していて抜かりはない。
パッと見は単なる昔のドラマに見えるが、コレを作るのは凄いカネと労力がかかっているのが滲み出ている。
広瀬すずはこれ迄、演技的にちょっと気になる部分が多かったがこの作品では宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優の末っ子という役柄で鍛えられたのか、彼女らと対等に渡り合う健闘をみせている。
松坂慶子も若い頃はアレだったが今じゃ堂々の大御所女優でこの作品でもその存在感はハンパなく、サスガとしか言いようがない。
しかしこのドラマは食事しながら4姉妹が話しをするシーンが何度も何度も出てくるが、これも最近のドラマだと滅多にないから新鮮に映る。
だけど昔のホームドラマはこの手の食事しながら話すシーンは定番だったのを思い出した。
ホームドラマではあるが、いかにも創作劇と言ったドラマとは真反対でものすごくリアリティがあり過ぎて生々しいくらいだ。
ただただ4姉妹わ取り巻く日常を淡々と描いてるだけと言えばそれまでだけど、その淡々の中身はまるでドキュメンタリーみたいに真実味に溢れているから面白く思えるのだろう。
ボクシングの日本チャンピオンでこのドラマのような大金持ちになれるのかは甚だ疑問ではあるがツッコミところはこれくらいだ。
BGMも最小限でここまで昭和の邦画風に徹底的に雰囲気作りをやっているのは、今となっては個性的でオリジナリティがある。
一気に最後まで観てしまったがこの4姉妹が仲違いしながらもお互いに助け合いながら人生を生きていく様をずっと見ていると日本女性の強さを思い知らされる。
もしかしてそこら辺がこのドラマのテーマなのかわからないが地味ながらかなりの良作だった阿修羅のごとくだった。