1966年のル・マン24時間レースをめぐる実話を映画化した伝記ドラマ。
フォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられた男たちが、王者フェラーリを打ち負かすため、意地とプライドを懸けた闘いに挑む。
エンジニアを『オデッセイ』などのマット・デイモン、レーサーを『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベイルが演じる。
『LOGAN/ローガン』などのジェームズ・マンゴールドがメガホンを取った。
カーレース界でフェラーリが圧倒的な力を持っていた1966年、エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)はフォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられる。
敵を圧倒する新車開発に励む彼は、型破りなイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。
時間も資金も限られた中、二人はフェラーリに勝利するため力を合わせて試練を乗り越えていく。
刺激的なタイトルに釣られて観た。
この映画のマット・デイモンが演じているシェルビーはあのシェルビーコブラで有名なエンジニアのようだ。
かつて知り合いがレプリカかも知れんがシェルビーコブラを運転させてくれて慣れない左ハンドルマニュアルに苦労しながらも日本の峠道でも意外によく曲がるハンドリング、何よりアメリカン大排気量V8エンジンの蹴飛ばされたような豪快な加速に魅了されたのを思い出した。
フォードと言えば流れ作業による大量生産方式を考え出しT型フォードと言う量産型車両を世界にクルマを普及させた言わば大衆車メーカーだ。
これがル・マンでフェラーリとガチンコ勝負をするというのはストーリーとしてなかなかソソられる。
この映画にはあのエンツォ・フェラーリが出てくるが想像していた通りのキャラクターに描かれていてこれは痛快だった。
実際今も昔もフォードのクルマにあまり関心はないがGT40だけは別格だ。
コレがフェラーリに勝つためにフォードが作ったクルマとは知らなかった。
フォード内部にレース活動を妨害する抵抗勢力がいてちゃんと憎たらしい悪役として機能しているのも実話がベースになっているだけに物語の信憑性は非常に高く説得力がある。
昔、徳大寺有恒の「間違いだらけのクルマ選び」というベストセラー本で読んだが自動車メーカーの社長はいわゆる「カーガイ」でないとその会社のクルマはつまらなくなり衰退すると書いていた。
そういう意味ではこの映画に出てくるがフォード2代目息子社長は紛れもなくカーガイなのだろう。
そう言えばトヨタも社長が変わってからクルマが劇的に変化してきた。
後半はお約束のル・マンレースシーンになるがさすがに現代の映画だけあって映像の迫力が半端ない。
それにしても最初から最後までマット・デイモンのシェルビーは重役とドライバーに挟まれた中間管理職的な役割でその辛さが痛いほど伝わってくる。
意外なラストだったが、欧州車や日本車についての歴史エピソードは色々知ってるがよく考えたらアメ車については何も知らない事に気づかせてくれたフォードvsフェラーリ、2時間半があっという間の良い映画だった。